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沙留漁業協同組合様

膨大な帳票をPDF化。文書管理システムで業務スピードが10倍に

沙留漁業協同組合様

日々発生する膨大な帳票をPDF化。文書管理システムと連携し、10倍の業務スピードを実現した、沙留漁業協同組合様の導入事例をご紹介します。

業種:漁業協同組合
従業員数:24名(2012年5月現在)
事業内容:組合員である生産者の生活を守り、支援していくことを目的に、信用事業、販売事業、購買事業、生産事業利用事業、指導事業、無線事業を行う。また加工工場を自ら構え、「サルレイ」ブランドの海産物も販売

課題業務:

日々発生する膨大な帳票をPDF化 文書管理システムと連携し業務スピードが10倍に

ホタテ、サケ、毛ガニを三本柱とする沙留漁業協同組合は、年間漁獲高30億~40億円の規模を誇るオホーツク沿岸の漁協だ。年間通じてさまざまな魚介類が水揚げされるため、自営の加工場も備えている。漁を支える購買事業、融資や貯金などの信用事業、共済事業まで幅広い事業を行っており、帳票類の量と種類は半端ではない。紙ベースの書類が日々増えていくなか、ファイリングや保管場所の課題解決と、セキュリティや情報漏えい防止のために文書管理システムを導入。業務の効率化とコスト削減、ペーパーレス化を図る。

導入の狙い
  • 帳票をペーパーレス化
  • 出力・ファイリング業務を効率化
  • 印刷関連コストを削減
  • 電子化によるセキュリティ向上と漏えい防止
導入効果
  • 電子化で帳票の8割をペーパーレス
  • 印刷関連コストを削減
  • セキュリティの強化とコンプライアンスの順守
  • 日常業務の効率化

オホーツク海の漁を支える多角的かつ包括的な事業

日本最北端の地・宗谷岬から世界自然遺産に指定されている知床半島にかけてのオホーツク沿岸。そのほぼ中央に位置する沙留(さるる)の海は、アムール川源流からの滋養あふれる水と、冬に押し寄せる流氷が豊富なプランクトンをもたらす資源豊かな海域として知られている。

沙留(さるる)漁業協同組合(以下、沙留漁協)は、この地で漁業を営む生産者・従事者の生活を守る組織として1949年に創業した。現在は正組合員107名、準組合員12名、合わせて119名が加盟。ホタテ、サケ、毛ガニを漁獲の三本柱として、イカやホッケなど年間を通じてバリエーション豊富な海産物が水揚げされている。年間の漁獲高は30億円から40億円にのぼる。

沙留漁協は水揚げした魚介類を加工する自営の工場も備えている。細菌検査を徹底的に行う検査室、検査済みの魚介類をすばやく冷凍するトンネルフリーザー、選別・包装・加工ラインなど最新設備を用いて、衛生的で高品質な海の幸を供給。水揚げとは別に工場だけで年間30億円から40億円の取扱高がある。

また、サケ・マスのふ化事業やホタテの稚貝の放流など漁獲資源の保護や育成を行うほか、漁に欠かせない漁網などの備品の購買事業も展開。地元住民を主に5,000口座を扱う信用事業は貯金残高70億円を誇る。さらに共済や漁業権の管理、行政関連の事務なども行っている。つまり、沙留漁協は本業の漁業を支える商社としての機能も併せて持っているのだ。

これらの幅広い業務を24名の限られた職員でこなしている。それぞれの分野で専門的知識が求められるため、銀行や会計事務所に勤務したキャリアをもつ職員を積極的に採用している。

毎年1~3月は流氷が押し寄せるため漁師は出漁できないが、この時期は逆に沙留漁協の職員たちは目の回るような忙しさだという。4月からの出漁に備えて、船の手続きや関係者間の漁獲量調整などやるべきことが山ほどあるからだ。

2008年9月ごろからシステム検討を開始し、WindowsサーバーによるActive Directory(以下、AD)への移行と、統合型グループウェア『eValue NS』の導入を決定した。

毎日の取引を記録するため 膨大な帳票類が発生

専務理事 富田 和幸氏

このように沙留漁協は多岐にわたる事業を展開しているが、日常業務で大きな比重を占めるのは帳票類や書類の作成である。

専務理事を務める富田 和幸氏は「紙ベースの書類が増え、膨大な量になっていました。文書の保管スペースが限られているうえ、個人のプライバシーにかかわる情報も多いので管理・廃棄はしっかり行わなければいけない。早急な対応を迫られたのです」と振り返る。

漁協という性質上、取引は日々発生する。水揚げされた魚介類は市場でセリにかけられ、仲買人には仕切書を、組合員には販売報告書を発行。月に2回、販売実績を集計して仲買人から売上金を回収し、組合員である生産者に振り込んでいる。これらすべての書類について沙留漁協の控えも必要だ。

「入金が済めば書類は必要ありませんが、お金のことですから数年間は保管しておかなければならない。書類は溜まる一方なのです」と富田氏。

そのうえ、生産者別や魚種別の漁獲高など日々のデータを統計として把握しなければならない。日計と累計で出力・保管しているが、実際には「サケがどれくらい獲れたか」という累計がわかればよい。つまり後に閲覧することが少ない日計もすべて出力・保管しなければならなかった。さらに網などの漁具や、ガソリンなど燃料も扱う購買事業でも仕入れに関する帳票が発生する。

一般企業に比べて帳票類の保管期間が長いこともネックだ。沙留漁協は「永年」「10年」「5年」「3年」「1年」で管理している。

かといって、ただ手をこまねいていたわけではない。生産者と仲買人への報告はコンピュータから自動的にファクシミリで送信するようにシステムを構築し、ペーパーレス化を一部で図っていたのだ。

沙留漁協は日本事務器株式会社(以下、NJC)による『漁業協同組合向けシステム』と呼ばれる基幹システムを導入している。これは漁協の業務をサポートし、事務処理を効率化する事業間のデータ連携と、債権債務・経理も連携する漁協向けトータルシステムだ。FAXシステムにより精算情報、仕切情報、残高情報(購買未収・貯金・貸付)、貯金取引明細を提供する。

富田氏は「NJCの担当者に相談して、保管してある帳票を探さなくてもシステム上でデータが検索できるようにしてもらいました。そこで書類の出力は必要ないのではと思ったのです」と語る。

紙として保存しておくことは廃棄の問題だけでなく、1カ所に保管されているために、「その気になれば職員が個人情報を閲覧してしまう」危険性もあった。

そこで帳票類を電子化し、必要な書類をそのつど印刷する方法をNJCとともに模索したのだ。

『eValue NS』を導入し PDFでペーパーレス化

総務部 総務管理課 課長 伊藤 保男氏

相談を受けたNJCは、『漁業協同組合向けシステム』が作成する帳票を部門別、日別、生産者別、魚種別などに分類してPDF化(電子化)。それらをOSKの文書管理システム『eValue NS ドキュメント管理』に日付や帳票の種類ごとに自動登録して管理するシステムを開発した。

eValue NS ドキュメント管理』は、規程類や契約書、ISO文書、図面など、幅広いドキュメントを安全に共有できる文書管理システムで、紙文書の電子化や高度な検索機能でのナレッジの発掘など情報資産の体系化と共有を実現するものだ。

基幹システムのメニューから『eValue NS ドキュメント管理』の自動登録フォルダに帳票がPDFで保存される仕組みだ。これによって従来の帳票の印刷出力と同様にPDF化された帳票が保存できるようになった。印刷出力はせず、問い合わせがあったときに、職員が『eValue NS ドキュメント管理』からPDF化された帳票を見るのである。

データをPDF化するタイミングは、基本的には1日の業務を終えたあと。出力する帳票類の名前と日付がPDFのファイル名として付与されるため、職員は『eValue NS ドキュメント管理』からそれを見て、対象になるものを確認する。

総務部 総務管理課 課長の伊藤 保男氏は「私たちが日々見るのは自動保存されているPDFで、問い合わせや検索にはそちらを利用しています。『eValue NS ドキュメント管理』には部門別のフォルダがあり、さらに日付別に整理されているので、シンプルでわかりやすいシステムです」と語った。使い心地にはとても満足しているそうだ。

導入は2010年3月。その後、基幹システムとの連携を構築し、翌2011年3月に本格稼働となった。

『漁業協同組合向けシステム』のほぼすべての帳票類を電子化するシステムは、沙留漁協以外にはまだないという。帳票類は40種以上。組織外にわたる財務の仕訳伝票などを除けば、そのほとんどを電子帳票に切り替えた。出力にかかるコストも大幅にダウンした。NJCは出力コスト削減により、導入してから7年間でシステム構築費用が取り戻せるとシミュレーションしている。

伊藤氏も「1年以上使っていますが、紙の出力は8割削減できました」とその効果を実感している。

帳票類の検索が容易になり 業務対応スピードは約10倍に

eValue NS ドキュメント管理』と『漁業協同組合向けシステム』の連携によってもたらされたものは、保管場所とコスト削減だけではない。業務の効率化とセキュリティの向上、コンプライアンスの順守にもつながっている。

富田氏は「検索が便利になりました。これまでは過去のデータに関する問い合わせがあると書庫に行って書類を探して......と半日がかりでしたが、今ならばパソコンで検索して印刷して組合員にパッと渡せる。ほんとうに効率的になりました。かかる時間は以前の10分の1ですよ」と笑う。

システム化と同時に、上司の承認が必要な書類は電子決済できるようにした。それまでは判子による承認だったので、グッとスピーディーになった。また、所属部門や役職に応じて、文書へのアクセス権も設定。これによって従来の「その気になれば職員が個人情報を閲覧してしまう」という状況を脱し、コンプライアンスの強化を果たした。

今後の課題としては、生産者への事業報告といった通達や案内の文書は未だに出力・保管しているので、これら一般文書のドキュメント管理も進めていく方針だ。また、さらなるセキュリティ向上のために、どのような使い方をしているのかを『eValue NS ドキュメント管理』のログで管理することも視野に入れている。

一方では、『音声電子議事録システム』を導入したいという考えもある。これは事前に5分ほど声紋チェックをすれば、人が話した言葉をかなりの精度でテキスト化できるものだ。

富田氏は「市場のセリで『音声荷受入力システム』を導入していますが、入力処理がすばやく簡単に行え、とても役に立っています。また、議事録の作成にも非常に手間がかかっているため、もう少しコストが下がれば簡単な会議でも使えるので、購入を考えたい」と言う。

紙の帳票と文書を8割電子化しただけでなく、『音声電子議事録システム』の導入をも目指す沙留漁協。なぜIT化に熱心なのか。

沙留漁協は、現在の事務所を建てた24年前に、それまでの手書きと手集計をやめて電算化を果たしている。富田氏は当時を振り返り、「私たちの組織が恵まれているのは、上層部が電算化を受け入れてくれたことです。しかも電算化で従業員を減らすのではなく『機械化すれば漁獲量が増えてもこの体制で経営できます』という私たちの言い分を認めてくれた。それが今日につながっています」と語る。

漁協という名称からは、つい保守的な組織を想像しがちだが、沙留漁協にはあてはまらない。ITによって業務が改善できるのならやってみればいい。生まれた余力は新たな仕事に注ぎ込もう―。こうした先取の気質をもつ沙留漁協ならば、これからもITをうまく活用して成長をつづけていくだろう。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記載内容は2012年5月現在のものです。

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