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成田国際空港株式会社様

タブレット端末を用いた旅客案内で、利用客の満足度を向上

成田国際空港株式会社様

タブレット端末を用いた旅客案内で利用客の満足度を向上 Lotus Notes/Domino資産を有効活用し、早期に低コストでサービスを展開した成田国際空港株式会社様の導入事例をご紹介します。

業種:旅行/運輸/倉庫業
従業員数:702名(2012年10月1日現在)
事業内容:空港運営事業、リテール事業、施設貸付事業、鉄道事業

https://www.naa.jp/jp/

課題業務:

タブレット端末を用いた旅客案内で利用客の満足度を向上 Lotus Notes/Domino資産を有効活用し早期に低コストでサービスを展開

日本の空の玄関である成田国際空港を管理・運営する成田国際空港株式会社(以下、NAA)は、利用客の利便性向上に重点を置き、情報通信技術を駆使して先進的な空港サービスを提供する「i-Airport」プロジェクトを推進しています。その一環として、2012年6月より「タブレット端末を用いた旅客案内」を開始。既存のLotus Notes/Domino(以下、Lotus Notes)のデータベースをWeb化して、機動力のあるタブレット端末から活用できるようにしたことで、広い旅客ターミナル内での案内サービスの品質向上を実現しました。

導入の狙い
  • 空港の手続き全体の最適化や利便性を向上させるための、ソフト面からのアプローチ
  • 旅客ターミナル館内でのタブレット端末の活用
導入効果
  • 案内業務のサービス品質向上
  • スタッフの作業効率と自信アップに貢献
  • 拾得物に関する情報提供などもスピードアップ

"選ばれる空港"になるため、利用客のさらなる利便性の向上を

業務推進部門 IT推進室
情報企画グループマネージャー
黛 政素 氏

成田国際空港は、35カ国3地域99都市と結ばれ、79社(いずれも2012年10月現在)の航空会社が乗り入れ、年間の発着回数約20万8,700回、旅客数約3,279万人(2012年)を誇る、国際拠点空港です。2010年10月に年間発着枠30万回への拡大に地元が合意したことを受け、利用者は今後さらに拡大していくと予想されます。一方、オープンスカイ政策の浸透、航空会社の再編、ローコストキャリア(LCC)の台頭など、国際空港を取り巻く環境は大きく変化し、空港間の競争はますます激化しています。

業務推進部門 IT推進室
情報企画グループ主席
肥田 達矢 氏

NAA 業務推進部門 IT推進室 情報企画グループのマネージャーを務める黛政素氏は、「成田国際空港は、多様化する航空ニーズを的確にとらえ、独自の価値を創造して"選ばれる空港"を目指さなければなりません」と語ります。 そうした中、NAAが2010年より推進しているのが「i-Airport」です。同グループの主席である肥田達矢氏は、このプロジェクトを次のように説明します。

事業部門旅客ターミナル部
旅客ターミナル事業グループ主席
小山 千尋 氏

「空港の手続き全体の最適化や利便性を向上させるには、交通アクセスの改善や航空ネットワークの充実といったハード面だけではなく、ソフト面からのアプローチも必要です。この課題に向けて、情報通信技術を使って貢献できることはないかと立ち上げたのがi-Airportです。例えば、言葉の壁を少しでも取り払うべく開発した多言語音声翻訳アプリケーション『NariTra』やAR(拡張現実)技術を用いた館内ナビゲーション・アプリ『NRT_Airport Navi』の提供をはじめ、スマートフォンやタブレット端末などを積極的に活用した、さまざまな取り組みを進めています」

そして、このi-Airportの一環として浮上したのが、旅客ターミナル館内でのタブレット端末の活用です。携帯性や操作性に優れたタブレット端末の利点をお客様の案内業務に役立てたいという発想が出発点でした。空港内の案内業務は、ターミナル各所に設けられたご案内カウンターで対応するスタッフと、館内を巡回するスタッフの2つのチームで行われています。これまで、ご案内カウンターではPCを利用してさまざまな情報提供ができるのに対して、巡回では必ずしも対応が十分でない場面もあったと、NAA事業部門 旅客ターミナル部 旅客サービス事業グループの主席である小山千尋氏は話します。 「巡回案内のスタッフは、空港内のさまざまな店舗や施設の知識を身に付け、カウンターのスタッフと携帯電話で連携しながら、お客様からのお問い合わせに対応してきました。ただ、記憶と電話に頼るやり方では、情報収集に時間を要したり、目的の場所への道順が複雑すぎて口頭では上手く伝えきれないことがありました」

そこで巡回案内スタッフがタブレット端末を携行することで、よりきめ細やかなサービス提供が可能になると考えたのです。タブレット端末の大型画面であれば、店舗や施設の場所を尋ねられた際に、その場で写真や地図を見せながら分かりやすく説明することができ、忘れ物の情報や交通アクセスの時間なども迅速に伝えられます。

お客様満足(CS)推進を経営上の重要な柱とする会社の方針もあり、NAAはタブレット端末の導入を決定しました。

「操作性」「開発期間」「コスト」のすべてで、Lotus Notes資産の活用を決定

あらゆる業務に深く根付いたLotus Notesのデータを有効活用

株式会社大塚商会 LA首都圏営業部
民需第2グループ 首都圏販売
第2課主任 青木 淳也 氏

巡回案内スタッフが持ち歩くタブレット端末にどのような情報を搭載すべきか―。検討当初は、一般に公開されているインターネット情報にアクセスできれば十分有益なのではないかとの考えもありました。しかし、現場からは社内の情報基盤として日々活用しているLotus Notesにアクセスできなければ、案内には使えないという声が挙がりました。

そこでNAAが舵を切ったのが、Lotus NotesのデータベースをWeb化し、タブレット端末から参照できるようにするというアプローチでした。実際、NAAはR4.6を導入して以来、社内のあらゆる業務にLotus Notesを活用してきました。現在、バージョン8.5.2を使用し、ユーザー数は約1,300名、データベース数は1,200以上に上ります。

株式会社OSK SL本部 カスタム
ソリューション部 カスタム
ソリューション2課 アプリ
ケーションスペシャリスト
西塚 麻弥 氏

「Lotus Notesは業務に深く根付いており、NAAに無くてはならない存在です。バージョンアップをしながら使い続けてきたのは、それだけ使い勝手が良かったからだと思います。その慣れ親しんだLotus NotesのデータベースをWeb化してモバイル環境でも利用できるようにすることは、当社にとって自然な流れでした」と黛氏は話します。

標準のWeb化機能によって容易にタブレット端末対応を実現

巡回スタッフが持ち歩く
タブレット端末のホーム画面

Web化の方法については、初期の段階ではHTMLで新たにWebの画面を作成する案も検討されました。しかし、「操作性」「開発期間」「コスト」のすべてにおいてLotus Notesの資産を活用する方が得策だという結論に至りました。そして、現場のニーズのヒアリングを行い、対象とするデータベースを選定して要件を固めました。

黛氏は次のように説明します。

タブレット端末で活躍中の
Lotus Notesアプリケーションの
画面表示例

「お客様をご案内するときに、直接画面を見るのはスタッフです。そのため、見栄えを良くするよりも、日頃使い慣れているデータベースの情報を確実に表示できることが重要と判断しました」

実作業は、長年にわたりSIパートナーとしてNAAのシステム構築や運用を支えてきた、株式会社大塚商会が担当しました。

「大塚商会さんは、当社がLotus Notesを導入して以来のお付き合いです。NAAの業務を熟知されており、こちらの要望を的確に汲み取り対応いただけるので、今回も作業を依頼しました。具体的には、『旅客案内』『拾得物情報』『航空会社情報』『お客様の声』などを扱っているデータベースが対象となりました」と肥田氏は話します。

大塚商会 LA首都圏営業部 民需第2グループ 首都圏販売第2課の主任である青木淳也氏は、次のように話します。

「業務の現場に混乱を招くことなく、タブレット端末での情報活用を推進する上で重要なポイントは、エンドユーザーに違和感を持たせないことにあります。それを実現する最善の方法が、Lotus NotesのデータベースをPCと同じ画面イメージでWeb化することです。既存資産を有効利用できるため、開発期間も短縮されます。また、既存システムと根が同じであれば、メンテナンスも1カ所で済み、運用コストを最小限に抑えることができます」

もともとLotus Notes自体にWeb化の機能が備わっていることも重要なポイントでした。「HTMLなどで新たにシステムを構築することを考えれば、工数は格段に少なくて済みます」と話すのは、株式会社OSK SL本部 カスタムソリューション部 カスタムソリューション2課のアプリケーションスペシャリストである西塚麻弥氏です。

「あえて工夫した点を挙げるとすれば、タブレット端末の画面上での見やすさへの配慮です。PCとタブレット端末では画面サイズに差があるため、ビューの見え方が違ってしまう部分があります。そこでWeb化に際しては、スタッフの皆様が持ち歩きながら簡単に扱えることを念頭に置き、大事な情報を画面の上部にまとめて表示したり、できる限りスクロールしなくて済むようにするといった調整を行いました。逆に言えば、手を入れたのはその程度で、ほとんど苦労なくWeb化を実現することができました」

また、Web化が容易だったため、プロトタイプ版をもとに、課題を事前に検証できたことも大きなメリットでした。

「早々にプロトタイプを作成いただき、評価を順次行うことができました。問題点があればその都度フィードバックして調整するといったやり取りを繰り返しながら、移行はスムーズに進んでいきました」と肥田氏は話します。

こうしてNAAは、大塚商会との緊密な連携のもと、わずか3カ月足らずという短期間ですべての開発作業を完了することができました。

案内業務のサービス品質向上とともに、スタッフの作業効率と自信アップにも貢献

ターミナルのさまざまなところ
を回りながらお客様をサポート

巡回案内スタッフが常に持ち運ぶタブレット端末用のツールとして2012年6月に運用を開始した新システムは、まさしく"即戦力"として活躍しています。

「事前に操作教育などはしなかったのですが、使い方が分からないといった問い合わせは1件もありません。普段からスマートフォンやタブレット端末に慣れ親しんだスタッフが多いこともあり、マウスからタッチパネルに操作が変わっても、抵抗なく受け入れてもらえたようです」と肥田氏は話します。

小山氏も、巡回スタッフがスムーズにお客様をご案内できるようになったと顔をほころばせます。

「案内スタッフは、お客様に信頼いただけることが非常に大切です。少しでも不安に思われると、別のスタッフに聞き直すといったことも起こり得ます。タブレット端末を使えば、その場ですぐに調べて回答できます。巡回スタッフもご案内カウンターと同等の情報を利用できることで、よりレベルの高いサービスをお客様に提供できるようになりました。その結果として、案内業務の品質が大きく改善したと感じています」

さらに、期待以上の効果も生まれているといいます。スタッフが空港ターミナル内を巡回する中で気付いた点(施設のトラブルや要注意個所など)を、タブレット端末のカメラで撮影してその場から送信し、データベースで共有化するといった活動が自発的に行われるようになったのです。現場では、単に与えられた情報を利用するだけでなく、皆がさまざまなアイデアを出し合い、工夫しながらシステムを活用しています。そうした中で、的確で分かりやすい施設案内のほか、拾得物に関する情報提供などもスピードアップし、お客様に喜ばれています。

「さまざまな場面でお客様のお役に立てるツールになるように、IT部門としても環境構築に注力してきました。それだけに、巡回案内スタッフが提供するサービス内容が以前にも増して強化され、お客様の利便性向上に貢献できていることは、何よりも大きな成果ととらえています」と黛氏も手応えを感じています。

リアルタイムの情報共有を、部門を超えたスタッフ間で推進していく

NAAの新システムは、今後もさらなる進化を目指して拡張が予定されています。課題のひとつが、タブレット端末に展開するデータベースの充実です。

「例えばフライト情報に関するデータベースは、現時点ではご案内カウンター内のみの公開にとどまっており、タブレット端末からは参照することができません。この対応をできるだけ早期に完了し、お客様からの細かいお問い合わせにもお答えできるようにしたいと考えています」と肥田氏は話します。

また、NAAでは将来的に案内業務のみならず、空港内のさまざまなサービスに携わる多くの部門のスタッフにシステムを展開し、情報共有の範囲を広げていきたいという意向を持っています。例えば、警備担当者などもお客様から見れば空港スタッフの一員であり、さまざまな問い合わせを受けることがあります。

「そういった場面でお答えできるレベルが、ご案内カウンターや巡回案内スタッフと近付くのが理想です」と黛氏。Lotus Notesのデータベースをグループ会社や協力会社にもカスタマイズした形で提供し、リアルタイムの情報共有を実現していきたいと、次のステップに向けた構想を描いています。

さらに、成田国際空港が"選ばれる空港"になるためには、社員一人ひとりの生産性や業務継続性の強化といった側面で競争力を高めていくことも不可欠です。案内システム以外のデータベースのWeb化やモバイル化も見据え、NAAは新たな目標に向かって前進を続けています。

  • 日本アイ・ビー・エム社発行の「お客様事例 成田国際空港株式会社様」から、日本アイ・ビー・エム株式会社の許可を得て転載
    会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
    この記載内容は2013年3月現在のものです。
  • 本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
    事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
    ビジネス・パートナー様より紹介されたソリューションは、ビジネス・パートナー様により提供されるものです。
    製品、サービスなどの詳細については、弊社もしくはIBMビジネス・パートナーの営業担当員にご相談ください。
  • " IBM、Lotus、Lotus Notes、Lotus Notes/Domino、およびWebSphereは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。

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