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株式会社日本取引所グループ様

金融商品取引所グループがグループウェアを一本化し、業務を標準化

株式会社日本取引所グループ様

堅牢性、機密性、利便性を評価しOSKの統合型グループウェア「eValue NS」を導入したアジア最大の金融商品取引所グループの株式会社日本取引所グループ(JPX)の導入事例をご紹介します。

業種:金融業
従業員数:1161名(2014年3月現在)
事業内容:有価証券の売買又は市場デリバティブ取引を行うための市場施設の提供、相場の公表及び有価証券の売買等の公正の確保その他の取引所金融商品市場の開設に係る業務

https://www.jpx.co.jp/

課題業務:

アジア最大の金融商品取引所グループが堅牢性、機密性、利便性を評価し 統合型グループウェアを大規模運用

株式会社日本取引所グループ(JPX)は、上場会社の時価総額規模でニューヨーク証券取引所、米ナスダックに次ぐ、世界3位の証券取引所を有するアジア最大の金融商品取引所グループだ。2013年に東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合し、新たなスタートを切ったJPXは、東京証券取引所グループが先行導入していた統合型グループウェア『eValue NS 2nd Edition』を、JPXグループ全体のグループウェアとして採用。これまでの東京証券取引所グループでの利用経験から、使いやすく、厳格なセキュリティ基準や内部統制にも対応した機能を備えていると評価されたことが選定の決め手となった。

導入の狙い
  • 経営統合を機に、グループ全体のグループウェアを一元化したい
  • グループウェアの一元化に合わせてシステムの冗長性、可用性も高めたい
導入効果
  • グループ全体の一体感の創出と共に、業務の標準化も進んだ
  • 取引所の厳格なセキュリティ基準や内部統制に対応した業務基盤を実現した

積極的な施策を次々と打ち出し日本の金融市場の魅力を高める

株式会社日本取引所グループ(以下、JPX)は、2013年1月1日に、株式会社東京証券取引所グループ(以下、東京証券取引所グループ)と株式会社大阪証券取引所(現在は株式会社大阪取引所、以下、大阪取引所)が経営統合し誕生した。傘下には、取引所金融商品市場の開設・運営を行う株式会社東京証券取引所(以下、東京証券取引所)および大阪取引所以外にも、企業の上場審査や上場管理、売買審査・考査などを行う日本取引所自主規制法人、金融商品取引清算機関である株式会社日本証券クリアリング機構、システム関連子会社などを擁する取引所グループである。

上場、売買、清算・決済から情報配信まで、金融商品市場に関わるさまざまなサービスの垂直統合によって、付加価値の高いビジネスを展開。同7月には、大阪取引所の三つの現物市場(第一部、第二部、新興市場ジャスダック)が東京証券取引所に統合され、JPXの現物取引市場を一手に担うことになった。

JPXの中核企業である東京証券取引所は、第一部、第二部、新興市場の東証マザーズとジャスダック、プロ向け市場のTokyo PRO Marketなどで構成され、上場会社数は約3,400社にも上る。上場会社の時価総額は、ニューヨーク証券取引所、米ナスダックに次ぐ世界3位だが、上場会社数では両取引所を上回る規模を誇る。

2014年1月には、新たな株価指数「JPX日経インデックス400」の算出・公表を開始。また、株式売買システム「arrowhead」(アローヘッド)の信頼性や利便性、処理能力の向上を基本方針として、2015年9月にリニューアルする予定だ。現物取引市場の国際競争力を高め、より多くの上場会社や投資家を国内外から呼び込むため、さまざまな改革を推し進めている。こうした努力により、東京証券取引所に新規上場する企業の数はここ数年、着実に増え続けている。

JPXでは、今後も金融商品の多様化など、さまざまな施策を積極的に打ち出し、日本の金融市場の魅力をさらに高めていく方針だ。

厳しいセキュリティ基準や内部統制に対応したグループウェア

株式会社東京証券取引所
IT開発部マネージャー
情報システム担当
横山 孝史氏

JPXの経営統合に当たっては、二つの取引所が、個別に運用していた基幹システムの一元化が不可欠であったことは言うまでもない。

これに加えて、JPXではグループ全体の社内系システムについても統合を進めている。その一環としてグループウェアについても、一つのシステムに集約して運用コストや管理の手間を減らすだけでなく、グループ全社員に業務プロセスの標準化を実践させることで、JPXとしての一体感の創出を図ろうとしたのだ。

このプロジェクトを担当したのは、東京証券取引所のIT開発部だ。同社が導入し運用してきた、統合型グループウェア『eValue NS』を、JPX全体のグループウェアとして展開することになったからだ。

JPXが『eValue NS 2nd Edition』を選定したのは、これまで東京証券取引所が利用してきた経験において、堅牢性、機密性、利便性が十分に検証されていたためだ。

「当初、東京証券取引所の上場部が、上場に関する電子文書の管理などを目的として、『eValue NS』の文書管理システムを導入しました。厳密なバージョン管理が可能で、ドキュメントへのアクセスや持ち出し、印刷も厳格に制限できるなど、社内でも特にセキュリティ基準が厳しい上場部の要件を満たす機能が十分に備わっていました。これならグループ全体に展開しても問題ないだろうという結論に達して、全社展開を決定しました」と語るのは、プロジェクトメンバーの1人である株式会社東京証券取引所 IT開発部 マネージャー 情報システム担当の横山 孝史氏だ。

IT開発部は、上場部の文書管理システム導入を担当したほか、『eValue NS』のワークフローシステムを活用して、社内系システムの運用にかかる各種申請業務のシステム化も実現した。洗練された操作性やユーザーインターフェースも評価のポイントだったが、「業務の中心となる稟議システムの構築に当たり、当社の組織形態や職務体制に応じて柔軟な設定が可能なワークフローシステムと、決裁が完了した稟議をファイル化し、シームレスに連携可能なドキュメント管理機能が標準で備わっている点が最終的な判断の決め手でした」と横山氏は振り返る。

グループウェアの統合をわずか4カ月で実現

株式会社東京証券取引所
IT開発部 調査役
情報システム担当
田口 慶氏

東京証券取引所では、上場部とIT開発部が2009年に『eValue NS』を導入したのを手始めに、利用部署を社内全体に広げていた。

そのような中、東京証券取引所グループと大阪証券取引所の経営統合が決定。これを受けて、展開の範囲をJPXグループ全体に広げることになり、併せてハードウェアの強化を含めた刷新と、パッケージの最新機能を利用するために『eValue NS 2nd Edition』へのバージョンアップも行った。

展開後は、それまで各グループ企業が別々に構築・運用していたグループウェアを『eValue NS 2nd Edition』に一本化したわけだが、移行に伴う混乱はそれほど大きくなかったようだ。

「特に大阪取引所は、それまでワークフローシステムの『Advance-Flow』(eValueの前身)を使用していたこともあり、操作に戸惑うことはほとんどなかったようです」と語るのは、株式会社東京証券取引所 IT開発部 調査役 情報システム担当の田口 慶氏。

ただし、移行作業については厳しい時間との戦いとなった。「文書管理システムや掲示板の一元化は、経営統合から社内系システムの統合方針が明確になってすぐに完了したのですが、ワークフローの統合は調整事項が想定以上に多かったのです」(田口氏)。

グループ内企業のワークフローシステムの標準化には、申請内容や承認経路の見直しと、アクセス権の再設定、過去データの移行といった複雑な作業が伴う。JPXのように経営統合で組織が大きく変更された場合、なおさら作業量は膨大となる。また、各社で時期を合わせて一斉に適用する必要があり、グループ内企業の一社でも間に合わないとなると、移行作業が二度手間となってしまう。

「当社では毎年6月に大規模な人事異動が行われるので、プロジェクトが決定された2014年2月から6月までのわずか4カ月という短い期間で完遂する必要がありました。スケジュールどおりにきちんと仕事を成し遂げてくださった点には非常に感謝しています」と横山氏は振り返る。

カスタマイズせずパッケージ機能で業務の標準化を狙う

株式会社東京証券取引所
IT開発部 調査役
情報システム担当
高田 芳徳氏

こうしてJPXグループはグループウェアの一元化を実現したが、『eValue NS 2nd Edition』の具体的な導入効果はどのように表れているのだろうか。

「大きな狙いの一つであったグループ全体の一体感は、掲示板によるコミュニケーションの活性化というかたちでも表れ始めています」と語るのは、株式会社東京証券取引所 IT開発部 調査役 情報システム担当の高田 芳徳氏。

「例えば、メールだと見落としてしまいがちな通知や案内も、掲示板の新着機能を使えば確実に目に届くようになります。そうした新規機能の活用方法をグループ全体が理解して、『コミュニケーションをもっと活発にしていこう』という機運が高まっています」(高田氏)

もちろん、グループウェアの一元化によって、グループ全体としてのシステム運用コストや運用負担が削減されたことは大きな成果だ。

「今回のシステム統合で大きなテーマとなったのは、できるだけカスタマイズをせず、パッケージの機能を使えるだけ使いこなすことでした」と語るのは前出の横山氏。

業務に合わせてシステムに手を加えると、バージョンアップのたびにカスタマイズをし続けなければならなくなる。それを避けるため、使える機能に合わせて業務を標準化しようというのが大きな狙いだったのだ。

「経営統合によって各社の業務の進め方を合わせようという意識が高まったことも、システム統合には絶好の機会でした」(横山氏)

また、「カスタマイズなしでも導入できたのは、さまざまな機能があらかじめパッケージで用意されている『eValue NS 2nd Edition』だからこそだと思います。必要な機能を必要なときに使うことで、効率性や安全性を思いどおりに高めることができるのですから」と田口氏は評価する。

現在、グループ内で『eValue NS 2nd Edition』を利用しているのは、日本取引所グループ、東京証券取引所、大阪取引所、日本取引所自主規制法人、日本証券クリアリング機構の5社になる。合計で1,000人以上のユーザーが日々利用する大規模な運用を実現している。

高田氏は、「今後は関連会社にもグループウェアの有効活用を促せていければと考えています。また運用面では、文書管理のセキュリティを強化するため、グループ全体で文書のペーパーレス化を推進し、各種申請については、メールではなくワークフローを活用してもらうよう働きかけたい」と語る。

グループウェアを標準化し、グループ全体で徹底活用し、業務の効率化とコミュニケーションの活性化をさらに促そうという考えだ。

またJPXは、『eValue NS 2nd Edition』のグループへの展開を機に、サーバーやストレージなどのハードウェアも刷新している。バックアップ時間の短縮やサーバー構成の見直しにより、システムの冗長性と可用性を高めると共に、処理の分散化による性能の向上により、ユーザーや利用範囲の増加にも耐えられる構成としたのだ。

JPXでは、ITを競争力の源泉・武器として位置づけ、日本の金融資本市場の提供主体として、市場を作り自らの手で運営することを使命としている。日本の金融市場を担うJPXの活躍を、統合型グループウェア『eValue NS 2nd Edition』は、これからも支え続ける。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記事内容は2015年2月現在のものです。

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