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株式会社スプーン様

輸出管理システムと会計システムの連携で業務効率を向上

株式会社スプーン様

「SMILE BS2」と「wPORTNeT/EX」を採用し、輸出・会計連携により業務効率を向上させた自動車部品の企画開発・製造販売を手掛ける株式会社スプーンの事例を紹介します。

業種:自動車部品
従業員数:15名(2015年7月現在)
事業内容:自動車部品の企画開発・製造販売

https://www.spoon.jp/

課題業務:

世界中の車好きに愛されるパーツブランドが基幹システムの全面刷新を選択 輸出・会計連携により業務効率を向上

カスタムカーを愛する世界中の若者にとっての、憧れのブランドSPOON。より速く、より快適に走るチューニングパーツを製造するため、世界のレースに参戦し、その結果を製品開発に生かし続けてきた。ユーザーはワールドワイドに広がっており、輸出管理や売上管理の煩雑さが課題に。さらに、販売管理・会計ソフトのサポート終了に伴いバージョンアップが求められた。しかしそこには、老朽化したサーバーのリプレースという大きな障壁があった。そこで同社が選んだのは、基幹業務システムを全面刷新し、業務課題をまるごと解決する道だった。

導入の狙い
  • 販売管理・会計ソフトのサポート終了への対応
  • 属人化していた輸出管理業務を共有化したい
  • 会計システムへの二重入力を軽減させたい
導入効果
  • 輸出関連書類のフォーマットが統一され、作成が容易になった
  • 会計連携により、二重入力の手間が軽減された
  • 売上実績を把握することで営業活動が強化された
  • マスター情報の更新で社内の古い情報を整理できた

チューンやカスタムを愛する世界中の若者憧れのブランド

商品技術開発室 ディレクター
今村 祐喜氏

株式会社スプーン(以下、スプーン)は、海外で名を馳せる企業だ。1970年代からレースに参戦する現役サーキットドライバーの市嶋 樹氏が、1988年にホンダ車専門のチューニングパーツショップとしてスタートさせた。米国、ヨーロッパ、アジアに自社でチューンアップしたレースカーを持ち込み、レースに次々に参戦していった。当時はまだインターネットが普及しておらず、プロモーションのためには各国で戦績を残すしかない。厳しい環境の中、出れば勝ったというほどの好成績を残し、数年でその名を世界に知らしめた。

90年代前半は、米国西海岸を中心に「スポーツコンパクト」と呼ばれる、パフォーマンスや燃費に優れる小型の日本車や、「タイプR」と呼ばれるレース仕様の市販車が人気となった。それらをベースにチューニング、カスタムを楽しむ若者が増えたこともあり、スプーンはその波に乗って成長していく。スプーンの名前は、ハリウッドのカーアクション映画「ワイルド・スピード(邦題)」にも登場する。チューンやカスタムを愛する世界中の若者にとって、それは憧れのブランドなのだ。現在、同社の取引先はワールドワイドに広がっている。

日本からやってきた小さなチューニングメーカーの知名度を上げるためだけに、レースに参戦していたわけでない。スプーンにとってレースは、重要な製品開発の場でもある。

商品技術開発室の今村 祐喜氏は、「レースに参戦し、そこでの失敗や経験を持ち帰ります。原因を分析して、その結果や新たな仮説をチューニングや部品に反映。次のレースで試し、確認していくサイクルができています。立てた仮説がピタリとはまったときには、『レースに勝つ』という目に見える成果となって現れます」

それは70年代、限られた資金と人員で、市嶋氏自らドライバーやメカニックを兼業して仲間たちと至上のクルマをつくり上げていった経験そのものであり、その精神は現在も引き継がれ、年間6、7戦、国内のスーパー耐久レースに参戦している。

一方で、現在の国内市場では若者の車離れが進んでいる。「私たちがクルマに乗りたい、オートバイに乗りたいと思っていたあのころとは時代が違う」と今村氏。ガソリンエンジンが電気自動車にとって変わろうとしており、カーシェアリングで投資をせずに車を使える時代。「車が白物家電化している」と今村氏は揶揄する。「もっと速く」「もっと快適に」クルマの楽しさを追求する同社の方向は、時代に逆行していると見ることもできる。しかし、時代に流されずにクルマに対するあふれる愛情を製品開発に注ぐ同社のパーツには、熱烈なファンが多いのだ。

「ブームに乗って売れるものをつくろうとすると、当たり外れに一喜一憂して、安定した経営になりません。どんどん会社が弱くなる気がします。私たちは、自分たちが良いと思っているものを作っているだけです。売れなくても、作った経験が将来の財産になっていくし、小さくて強い会社でいた方がユーザーも好きでいてくれる。同じ気持ちを持ったユーザーと一直線でつながっていくことが、私たちの目標です」(今村氏)。

同社はまた、3年前から新しいプロダクトを市場投入している。“すべてのクルマからガタをなくす、走りを変える魔法のパーツ”をキャッチフレーズとして展開する「リジカラ」は、リジッド・カラー(rigid collar=剛結する環)の略。クルマのボディーとサブフレームをしっかりと締結し、ボディー剛性を高めるSPOONのオリジナルパーツだ。エンジン始動時の振動が収まり、段差の衝撃が小さくなるなど、クルマの乗り味が一変する。リジカラは、ホンダ車をはじめ、約300車種に適合。ほぼ全メーカーの車種へ適用範囲を拡大している。全国のオートバックス、チューニングショップ、修理工場、一部のカーディーラーで取り扱いがあり、取り付け可能だ。ぜひ、その乗り味を体感してみてほしい。

バージョンアップするには、老朽化したサーバーのリプレースも必要

スプーンの売上は、国内、海外でほぼ半々になっている。インターネットや通信販売で直販も行っているが、海外では代理店契約を結ぶ法人に輸出し、米国、カナダ、イギリスなど、北米、ヨーロッパ、アジアの約10カ国に販売している。

これまで同社では、輸出の際のインボイスやパッキングリストなどの書類はエクセルで作成しており、同社の輸出管理は、担当者のスキルに依存した煩雑な作業になっていた。また、販売管理システムと会計システムが連動していなかったため、手動でデータを取り込む作業があり、経理担当者の負担にもなっていたのだ。

こうした業務上の課題と共に問題だったのが、販売管理ソフトと会計ソフトのバージョンアップの問題だ。使用していたソフトのサポート終了時期が迫っており、またこの先、実施が予定されている消費税10%化に対応するにはソフトのバージョンアップが必須だったのだ。そこで、ベンダーに対策の見積りを依頼したが、予想以上のコストがかかることが判明した。

「バージョンアップを行うには、SQL Server 2005を搭載し、老朽化していたサーバーをまるごとリプレースする必要がありました。そのためには、大きな投資が必要です。単なるバージョンアップでかかるコストとしては高額で、稟議を通しにくい。それならいっそのこと、バージョンアップではなく、これまでの業務上の課題を解決してくれる新しいシステムを一から導入しようということになったのです」(今村氏)

新しいシステムの導入に向けて調査した同社は、OSKの基幹業務システム『SMILE BS2 販売会計』および、輸出管理システム『wPORTNeT/EX』『wPORTNeT輸出連携テンプレート』の採用を決定。2014年6月から移行を開始し、9月に本番環境を導入、並行稼働期間を経て10月より本番稼働をスタートさせた。

今回、基幹業務システムを刷新するにあたり、マスター情報の更新も行われた。骨の折れる作業のはずだが、古い情報をきちんと整理する良い機会だと捉えていた。

「マスター情報の更新作業は、ある程度大変なのは覚悟していました。それよりも、音沙汰のなくなった古い得意先などのマスター情報を整理するなど、基幹業務システム内の情報をしっかりと整理することの方が重要だと考えていました」(今村氏)

“基幹業務システムを全面刷新する”それは、日常業務そのものをより良いものに変えるきっかけとなったのだ。基幹システムの移行作業自体は特にトラブルもなくスムーズに完了した。

輸出連動、会計連動で業務効率を大幅に向上

『wPORTNeT/EX』は、貿易業務管理ソリューションの決定版『PORTNeTシリーズ』のクライアントサーバー型輸出管理システムだ。国内、海外を問わずマルチ通貨の取引を一元管理できる受発注型の販売管理システムで、契約ごとの発注、入荷予定、出荷予定、入荷、出荷、入金、支払の流れを確認でき、諸掛を輸出商品に按分して商品ごとの粗利益、純利益を把握できる。

そして、『wPORTNeT輸出連携テンプレート』により、『SMILE BS2 販売』との連携を図っている。マスター情報の同期をとるために『SMILE BS2 販売』から出力した商品マスター、仕入先マスター、得意先マスターを『wPORTNeT/EX』に取り込み、『wPORTNeT/EX』の出荷データを『SMILE BS2 販売』の売上情報として取り込むかたちだ。これにより二重入力の手間がなくなり、インボイスやパッキングリストなどの書類をシステムの画面から簡単に作成することができるようになった。

「エクセルで作成・管理するという属人的な作業がなくなり、担当者によって違っていたフォーマットが統一されました。また、これまでは担当者が変わると内容が分からなくなってしまうこともありましたが、これからは過去にさかのぼって内容をチェックすることも可能になります」と、今村氏はその効果を語る。

『SMILE BS2』では、販売管理システムと会計システムが連動している。

「これまでは販売管理システムと会計システムが連携していなかったため、営業担当者は売りっぱなしで回収がどうなったのか、数字を追うことができませんでした。今回のシステム導入で、数字がしっかりと見えるようになりました」と今村氏。数字の見える化によって、営業の売上に対する意識も変わってきたようだ。

検証・仮説を重ね、より良いものに改善していく

また、売上などの数字をしっかりと追いかけることができるようになったことで、新たな改善目標も生まれている。

「現在は月単位でしか売上実績を見ることができませんが、部門別の日計表など、より短い期間で数字を見られるようにしていきたいです。そうなれば、販売計画や生産計画などに反映し、会社の基盤をもっと強固なものにしていくことが可能になります」(今村氏)

仮説と検証を繰り返し、より良いパーツを生み出していく。改善を重ねる姿勢は、同社のビジネスを支えるシステムにまで及んでいる。『SMILE BS2』をはじめとする新・基幹業務システムは、これからも世界中のクルマ好きに愛されるスプーンのブランドをより強固なものにしていくことだろう。

会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記載内容は2015年7月現在のものです。

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