年末調整改正のポイント

最終更新日:2022/9/ 2
令和4年(2022年)の改正
※本ページは2022年9月時点のものです。
令和4年(2022年)の年末調整は、電子データで提出可能な証明書が増えるなど、令和2年(2020年)からはじまった年末調整業務の電子化促進を目的とした改正のほか、来年以降の年末調整に関係する改正も行われています。
内容を確認し、今から準備を進めておきましょう。
住宅ローン控除について
住宅ローンの借入限度額・控除率・控除期間の変更
住宅ローンの所得税額の特別控除について、控除期間が、令和7年12月31日まで延長されます。
また、令和4年から令和7年までの間に住居の用に供した場合の住宅ローン等の年末残高の限度額および控除率、控除期間は下記のとおりです。
令和4年・5年居住開始 | 令和6年・7年居住開始 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | ||
新築等住宅 | 認定住宅 | 5,000万円 | 0.7% | 13年 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | |||||
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | |||||
一般住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 | 10年 | ||||
中古住宅 | 認定住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 10年 | 3,000万円 | 0.7% | 10年 |
一般住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 | |||||
震災再建住宅 | 5,000万円 | 0.9% | 13年 | 4,500万円 | 0.9% | 13年 |
- 初年度は確定申告をおこなうため、令和5年以降の年末調整に関係します。
適用対象者の所得要件の変更
住宅ローン控除適用対象者の所得要件が、3000万円以下から、2000万円以下に引き下げられました。
新築住宅床面積40m2以上の住宅の要件変更
令和5年12月31日までに取得等をした床面積が40m2以上50m2未満の新築住宅についても、特別控除の対象となります。
ただし、合計所得金額が1000万円を超えると適用されません。
借入金残高証明書の添付が不要

令和5年1月1日以降に取得した住宅について、年末調整の際に提出していた「借入金残高証明書」の添付が不要となります。
- 初年度は確定申告をおこなうため、令和6年以降の年末調整に関係します。
社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の「控除証明書」電子化
令和4年10月1日以降、「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」の控除証明書の電子データでの提出が可能となります。
年末調整の電子化を行っていない場合は、従来通り紙の控除証明書や、電子証明書に記載された情報が記録されたQRコード付きの出力書面で提出が可能です。
非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用について
令和5年1月1日以降、30歳以上70歳未満の非居住者で、以下の1~3いずれにも該当しない人は扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から除外されます。
- 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
- 障害者
- 扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

上記の1.3に該当する場合、証明するための確認書類が必要となります。
留学生 | 38万円以上の送金を受けているもの | |
---|---|---|
確認書類 | 留学ビザ等相当書類 | 38万円以上の送金関係書類 |
確認時期 | 扶養控除等申告書を受領するとき | 年末調整を行うとき |
SMILE V2 人事給与が年末調整業務をサポート
控除額を自動計算
年末調整の電子化に対応

『SMILE V2 / V Air 人事給与』は、国税庁が無償提供している「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」で作成した年末調整申告書データおよびインポートした控除証明書データを取り込んだり、「オフィスステーション年末調整」と年調ソフトフォーマットで連携することが可能です。
また、申告書の押印欄廃止の様式変更など、電子化を促進する改正に随時対応しています。
- 本ページでは、「SMILE V 2nd Edition」を「SMILE V2」、「eValue V 2nd Edition」を「eValue V2」と表記しております。
過去の改正内容
※対象年を選択し、内容を展開してご覧ください。
▾ 令和3年(2021年)の改正
令和3年(2021年)の年末調整は、電子化の事前申告の廃止や住宅ローン控除申告書が電子化されるなど、電子化を促進する改正が行われます。
改正内容をチェックして、今年の年末調整に備えましょう。
廃止事項
事前申請の廃止
従来、年末調整を電子化するためには、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請」を行い、所轄税務署長の承認を得る必要がありました。
2021年4月1日以後に提出する下記の書類について、一定の要件のもと届出および税務署長による承認が不要となります。
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 従たる給与についての扶養控除等申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
- 電子化するための要件については、年末調整の電子化で業務負担を軽減!をご参照ください。
▾ 令和2年(2020年)の改正
※本ページは2020年9月時点のものです。
令和2年(2020年)の年末調整は、各種控除の変更に加え、申告書も大幅な改訂が実施されます。
これに加え、今年は年末調整の電子化もスタートすることもあり、早めの準備を心がける必要があります。
ここでは、「各種控除の変更」と「年末調整の電子化」について詳しく見ていきます。
各種控除の変更
給与所得控除や基礎控除をはじめとする各種控除の変更や、新たな控除が創設されます。
給与所得控除の引下げ
給与所得控除額が10万円引き下げられます。
給与等の収入金額の上限が1000万円超から850万円超に、給与所得控除の上限が220万円から195万円に変更されます。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
162.5万円以下 | 65万円 | 55万円 |
162.5万超~180万円以下 | 収入金額 ×40% | 収入金額 ×40% -10万円 |
180万円超~360万円以下 | 収入金額 ×30% +18万円 | 収入金額 ×30% +8万円 |
360万円超~660万円以下 | 収入金額 ×20% +54万円 | 収入金額 ×20% +44万円 |
660万円超~850万円以下 | 収入金額 ×10% +120万円 | 収入金額 ×10% +110万円 |
850万円超~1000万円以下 | 195万円 (上限額) | |
1000万円超 | 220万円 (上限額) |
基礎控除額の変更
合計所得金額が2400万円以下の場合、基礎控除は従来の38万円から10万円引き上げられ、48万円となります。
ただし合計所得金額が2400万円を超えると控除額は段階的に引き下げられ、合計所得金額が2500万円を超えると基礎控除が適用されなくなります。
合計所得金額 | 基礎控除額 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
2400万円以下 | 38万円 | 48万円 |
2400万円超 2450万円以下 | 32万円 | |
2450万円超 2500万円以下 | 16万円 | |
2500万円超 | 0円 |
所得金額調整控除の創設
給与等の収入金額が850万円を超えた場合は実質増税となるため、介護や子育て世代の負担が増えないよう、所得金額を調整する所得金額調整控除が設けられました。
所得金額調整控除の対象者
- 本人が特別障がい者である場合
- 23歳未満の扶養家族がいる場合
- 特別障がい者である同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
- この適用を受ける場合、「所得金額調整控除申告書」の提出が必要になります。
配偶者控除、扶養控除などの合計所得金額要件の見直し
基礎控除の引き上げ、給与所得控除の引き下げにともない、配偶者控除や扶養控除、勤労学生控除などに関係してくる部分で、それぞれの合計所得金額要件が、現行のものから一律10万円ずつ引き上げられます。
- 年収額の要件に変更はありません。
合計所得金額の要件 | ||
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
源泉控除対象配偶者 | 85万円以下 | 95万円以下 |
控除対象配偶者・同一生計配偶者・扶養親族 | 38万円以下 | 48万円以下 |
配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 38万円超~123万円以下 | 48万円超~133万円以下 |
勤労学生 | 65万円以下 | 75万円以下 |
ひとり親控除の新設及び寡婦(寡夫)控除の見直し
これまで寡婦(夫)控除は、離婚や死別によって配偶者がいなくなった人に適用されており、「未婚のひとり親」は適用対象外でした。
今回の改正により、婚姻歴・性別によらず、すべてのひとり親に対してひとり親控除が適用されます。
ひとり親控除
対象者
- 総所得金額等の合計額が48万円以下の同一生計の子を有すること
- 合計所得金額が500万円以下であること
- 住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
寡婦(寡夫)控除
対象者
寡夫控除はひとり親控除に吸収されるため廃止されます。
寡婦控除については、ひとり親控除の適用要件に該当せず、かつ下記の要件を満たす女性に対して適用されます。
- 夫と死別、離婚、夫が生死不明の状態であること(離婚の場合は、扶養親族を有すること)
- 合計所得金額が500万円以下であること
- 住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと

年末調整書式の大幅改訂
今年から「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が新たに加わることとなり、「給与所得者の配偶者控除等申告書」と一体化し、1枚の様式になります。(「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という新様式になります)

年末調整の電子化
年末調整手続きの電子化が開始されます。法定調書の電子提出義務の要件が変更となります。
年末調整手続きの電子化が開始
これまで保険会社等からハガキなどの書面で交付されていた控除証明書等が電子データで取得できるようになり、データのまま勤務先に提出できるようになります。
法定調書100枚以上の事業者の電子提出が義務化
これまで、e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務基準は1000枚以上でしたが、100枚以上に引き下げられました。
法定調書の種類ごとに、前年の法定調書の提出が100枚以上であるものについては、e-Tax又は光ディスク等で提出する必要があります。

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