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知っておきたい「税制改正法成立!定額減税、4・5月の企業の準備は?」

法改正・税制関連

最終更新日:2024/4/10

物価高による国民負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、2024年3月28日に定額減税の実施が盛り込まれた2024年度の税制改正関連法が成立しました。

6月以降に支給される給与・賞与から月次減税の事務を実施しなければなりません。

そのため、社員への案内・情報の収集方法、給与システムの社員情報との照合や追加入力方法等、すぐにでも準備を進める必要があります。

6月に向けて、いつまでに、何を、どのように進めていけばよいのか、に絞って解説をします。

企業が実施する減税事務

定額減税は、対象者(給与所得者とその配偶者・扶養親族)1人につき所得税3万円、個人住民税1万円を減税する制度です。このうち、企業が実施しなければならないのは、所得税の月次減税と年調減税、給与からの個人住民税の特別徴収の事務です。

住民税の減税方法

個人の住民税については、定額減税の対象者は、2024年6月分は徴収せず、7月分から11か月にならした金額を特別徴収します。定額減税の対象外の方は、例年通り12か月でならした金額を特別徴収します。各月の税額は市区町村より通知されますので、通知された通りに徴収し、納付すればよいことになります。

所得税の減税事務の対応スケジュール

いつまでに何をしなければならないのか、実務対応のスケジュールをまとめると以下のようになります。

月次減税とは、

  1. 6月1日に在籍している、
  2. 扶養控除等異動申告書を提出している社員(甲欄対象者)について、
    定額減税制度の対象外となることが明らかな合計所得1,805万円超の社員についても月次減税は実施しなければならない
  3. 本人とその同一生計配偶者・扶養対象親族の1人につき3万円を、
  4. 6月以降に支給される給与・賞与(支給日の早い順に)から減税する

ことです。

そうなると、6月の最初の給与または賞与計算の前までに、社員から定額減税に関しての情報を申告してもらわなければなりません。

給与(賞与)計算を始めるタイミングから逆算して、社員への案内をしておきましょう。

社員に自分が対象かどうか判断するための案内が必要

今年限りの制度でもあり、改正法成立から実施までの期間も短いため、社員の皆さんは、ご自身が会社での定額減税の対象なのか、家族の分の減税も会社が実施してくれるのか、判断がつかない方もいらっしゃると考えられます。

会社として、社員がいつまでに何を申し出るべきかを通知する案内文には、定額減税の対象者かどうかが確認できるように下記のようにフローチャートを付記するとよいでしょう。

配偶者や扶養親族についても、非居住者でないこと、合計所得が48万円以下であることを同じようにフローチャートで確認できるようにすると、より分かりやすくなります。

社員への案内文に入れたい事項

  1. 月次減税を始める給与(または賞与)の支給日
  2. 6月1日に在籍しており、「扶養控除等異動申告書」を提出している社員が対象であること
  3. 配偶者・扶養親族については、既に提出している「扶養控除等異動申告書」に記載されている合計所得が48万円(給与収入のみであれば103万円以下)であり、非居住者でないという条件を満たす方であること
    非居住者とは、日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続き1年以上国内に居住していない方のこと
  4. 6月1日の現況が、既に提出している「扶養控除等異動申告書」と異なる場合は申し出ること
  5. 「扶養控除等異動申告書」に記載できない同一生計配偶者(合計所得900万円超(給与収入のみなら1,095万円)の社員本人と生計を一にする配偶者で、所得の見積額が48万円以下の方)がいる場合は、「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」を提出すること
  6. 申し出の期日
  7. 期日以降の配偶者や扶養親族に変更がある場合は、年末調整で定額減税の対象になること

社員からの情報収集については、国税庁が公表している様式でなくても、申告書と同様の内容が含まれているのであれば、電磁的方法(Web)での収集も可能とされています。案内文書の通知や情報収集についても、担当者の事務の負担が少なく、今年限りの対応であることを踏まえ、対応方法を検討しておきましょう。

筆者プロフィール

北條 孝枝(ほうじょう たかえ)

株式会社ブレインコンサルティングオフィス 社会保険労務士

メンタルヘルス法務主任者

会計事務所で長年に渡り、給与計算・年末調整業務に従事。また、社会保険労務士として数多くの企業の労務管理に携わる。情報セキュリティについての造詣も深く、実務担当者の目線で、企業の給与、人事労務担当者へのアドバイスや、業務効率化のコンサル等に取り組むとともに、実務に即した法改正情報、働き方改革などの企業対応に関する講演も多数行っている。

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