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物流業界の2024年問題

法改正・税制関連

最終更新日:2023/11/ 8

物流業界の2024年問題とは

労働環境の改善と労働力不足の解消のために施行された「働き方改革関連法」では、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、時間外労働の上限規制が適用されています。

しかし、自動車運転業務(以下、ドライバー)では、人手不足や長距離輸送などにより長時間勤務が常態化しているため、それらの問題解決に時間がかかることを考慮し、5年間の猶予期間が設けられていました。

2024年4月から「労働時間の上限規制」がはじまることで、労働環境改善のためにさまざまな対応が必要となります。これを物流業界の2024年問題といいます。

国や業界の取り組み

物流業界の2024年問題について、国は物流事業者、荷主・消費者に対してさまざまな取り組みを行っています。

物流事業者に向けた働きかけ

深刻なドライバー不足の状況から、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するためには、物流事業者の生産性向上や物流の効率化に取り組む必要があります。国土交通省では、中小企業向けITツールガイドブック でITツールの活用を推奨しています。

荷主・消費者を含めた国をあげての取り組み

早期に具体的な成果が得られるよう、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容、商習慣の見直しについて物流革新緊急パッケージ として各種施策を取りまとめています。

  • 物流の効率化
    • 設備投資、物流DXの推進
    • 運転手の負担軽減、担い手の多様化の推進
    • 物流拠点の機能強化、物流ネットワークの形成支援等
  • 荷主・消費者の行動変容
    • 宅配の再配達率の半減
    • 政府主導の意識改革・行動変容の促進強化
  • 商習慣の見直し
    • トラックGメンによる荷主・元請事業者の監視体制強化
    • 物価動向の反映、荷待ち・荷役の対価等の加算による標準的な運賃の引き上げ

また、物流事業者と物流利用者双方の理解を得て、生産性の向上・物流の効率化と性別・年代問わず働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現を目指す、「ホワイト物流」推進運動を行っています。

物流業界に関する働き方改革関連法改正内容

1.労働時間の上限規制

ドライバーは、これまで時間外労働時間に上限の規制がありませんでしたが、2024年4月以降は、36協定で特別条項が適用された場合でも、年960時間の上限が設けられます。

この上限規制に違反した場合、罰則の対象となる可能性があります。

ドライバー以外の運行管理者、事務職、整備・技能職、倉庫作業職等は一般則が適用され、大企業は2019年、中小企業は2020年から適用されています。

労働時間の上限

原則 1日8時間、1週間40時間

36協定を結んだ場合、協定で定めた時間まで時間外労働可能

災害復旧や大雪時の除雪など、避けることができない事由により臨時の必要がある場合には、労働時間の延長が可能(労基法33条)

36協定の限度 年960時間、月平均80時間(休日労働を含まない)

1月あたりの残業時間が45時間を超えるのは1年につき6ヶ月までの規制はなし

月100時間未満、2~6ヶ月の平均80時間以内の規制はなし

  • 拘束時間とは、労働時間(所定労働時間+時間外労働時間)に休憩時間を合わせた全体の時間のことを指します

改善基準告示

年間・月間拘束時間
  • 1年:3300時間以内(労使協定により、最大3400時間以内)
  • 1か月:284時間以内(労使協定により、最大310時間以内、年6回まで)

労使協定により最大時間とする場合、284時間は連続3か月まで、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める必要がある

1日の拘束時間 13時間以内(上限15時間、14時間超えは週2回まで)

宿泊を伴う長距離貨物輸送の場合、16時間まで延長可能

1日の休息期間 継続11時間以上(9時間を下回らない)
運転時間
  • 2日平均1日:9時間以内
  • 2週間平均1週:44時間以内
連続運転時間 4時間以内

運転の中断時には、原則として休憩を与える(1回おおむね連続10分以上、合計30分以上)

10分未満の運転の中断は、3回以上連続しない

予期しえない事象 下記のような予期しえない事象への対応時間について、1日の拘束時間・運転時間(2日平均)・連続運転時間から除くことが可能
  • 運転中に乗務している車両が予期せず故障
  • 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航
  • 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航
  • 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難

運転日報上の記録に加え、客観的な記録(公的機関のHP情報等)が必要

特例
  • 分割休息(連続9時間以上の休息を与えることが困難な場合)
    • 分割休息は1回3時間以上
    • 休息時間の合計は2分割:10時間以上、3分割:12時間以上
    • 3分割が連続しないように努める
    • 一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度
  • 2人乗務(ドライバーが同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合)
    • 身体を伸ばして休息できる設備がある場合、拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮
  • 隔日勤務(業務の必要上やむを得ない場合)
    • 2暦日拘束時間は21時間、休息時間は20時間
  • フェリー
    • フェリー乗船時間は原則として休息期間(減算後の休息期間はフェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を上回ってはならない)
    • フェリー乗船時間が8時間を超える場合、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される
休日労働 休日労働は2週間に1回を超えない、休日労働によって拘束時間の上限を超えない

2.時間外労働の割増賃金率の引き上げ

2023年4月から、業種に関係なく中小企業でも月60時間以上の時間外労働への割増賃金が25%から50%へ引き上げられています。

長時間労働によるコスト増が考えられますので、こちらについてもあわせて対策が必要です。

Check Point

トラック運送業界における働き方改革を推進するため、公益社団法人全日本トラック協会より、「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」が策定されています。

アクションプランを参考に、はやめに準備をすすめましょう。

3.同一労働同一賃金

2021年4月から、中小企業でも同一労働同一賃金が適用されています。同一労働同一賃金とは、正社員と非正規社員(パートタイム労働者、契約社員等)といった雇用形態に関係なく、同じ職場で同じ仕事内容に従事している従業員に対して、同一の賃金を支払うという考え方です。

正社員と非正規社員との間で、待遇差が出ないように見直しを行う必要があります。

働き方改革実現のために

トラックドライバーの長時間労働の改善には、労務管理を正しく行うことや、「中継輸送」による拘束時間の短縮のほか、システムを導入することで業務効率を向上させることが必要です。

中継輸送とは

政府が推奨している中継輸送とは、1つの輸送工程を1人のドライバーが運転し続けるのではなく、複数のドライバーがリレーしながら担う輸送方式のことです。大手宅配業者では既に導入済みのところも多く、例えば荷物の追跡などで確認することができます。

中継輸送をすることで、これまで1泊2日かかった長距離運行を日帰りにできたり、拘束時間を短縮することが可能になり、長時間労働の改善を図れます。

国土交通省では、中継輸送実現に向けたポイントや取組事例をまとめています。

運転者の拘束時間を可視化

乗務記録集計表

「SMILE V2 トラックスター」は、請求業務や実績集計だけでなく、ドライバーの労働状況把握についてもサポートします。

たとえば、運転者予定でドライバーの1日の運転時間や月間の拘束時間残を確認しながら配車を行えるので、超過勤務を防止できます。

運転日報で請求対象を選択

「SMILE V2 トラックスター」は、運転日報入力で入力した運賃を得意先への売上対象とするかどうかを選択できます。

1つの受注に対して中継輸送を行い、複数の傭車料や運転者・車両の実績が発生しても、得意先への請求書には載せず、実績として登録しておくことが可能です。

「SMILE V2 トラックスター」は、ドライバー交替方式、貨物積み替え方式に対応可能です。

運転者と車両の予定を把握

トラックスター・スケジューラ連携

「SMILE V2 トラックスター」で車両と運転者の運用予定を入力すると「eValue V2 スケジューラ」に反映されます。

スケジュール一覧から運転者の予定や配車状況がわかるので、ダブルブッキングの防止に役立ちます。

運転者情報を給与連携

「SMILE V2 トラックスター」の運転日報入力から登録した運転者の売上実績・勤怠・諸手当などを集計し、社員・運転者対応マスターをもとに「SMILE V2 人事給与」で変動データを作成できるため、給与業務を効率化できます。

また、「SMILE V2 人事給与」では時間外労働の割増率を設定できるので、時間外労働の割増賃金率の引き上げにも対応できます。

  • 本ページでは、「SMILE V 2nd Edition」を「SMILE V2」、「eValue V 2nd Edition」を「eValue V2」と表記しております。

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