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冨士ブレーキ工業株式会社様

製造卸の業務に対応したパッケージで業務効率化とデータ活用を推進

冨士ブレーキ工業株式会社様

「SMILE BS 2nd Edition」を採用し、フルオーダー販売管理システムから製造卸の業務に対応したパッケージに移行し、業務効率化と基幹データ活用推進を実現させた冨士ブレーキ工業株式会社の事例を紹介します。

業種:製造業
従業員数:75名(2017年5月現在)
事業内容:各種ブレーキライニング・ブレーキパッド用摩擦材の製造・販売

https://www.fujibrake.co.jp/

課題業務:

フルオーダー販売管理システムから製造卸の業務に対応したパッケージに移行 業務効率化と基幹データ活用推進を実現

冨士ブレーキ工業株式会社は、ブレーキライニング・ブレーキパッドと呼ばれるブレーキ用摩擦材の専業メーカーだ。設立は1951年と古く、日本のモータリゼーション史と共にブレーキ用摩擦材の開発に取り組む中で得た技術の蓄積は、今日大きなアドバンテージになっている。同社は、フルオーダー開発した販売管理システムのサーバーOSのサポート終了を機に、自社業務に対応したパッケージシステムに移行した。これまで複数システムによって管理してきた業務を一元管理し、受注業務の効率化やフレキシブルな帳票出力、基幹データの活用など、多くの成果を得ている。

導入の狙い
  • 業務に対応したパッケージシステムで、よりスムーズな導入を実現したい
導入効果
  • スムーズな移行が実現できた
  • アウトプットに関する柔軟な機能を利用することで基幹データ活用が進んだ
  • 在庫のリアルタイム把握が可能になり、受注業務の効率化を実現した

ブレーキ用摩擦材の知る人ぞ知る老舗メーカー

営業部 課長
田中 宏彰氏

冨士ブレーキ工業株式会社(以下、冨士ブレーキ工業)は、自動車・産業機械用ブレーキの摩擦材の専業メーカーだ。同社製品は主に、ブレーキライニングとブレーキパッドに分けられるが、前者はドラム式ブレーキ用摩擦材、後者はディスクブレーキ用摩擦材を指している。

1951年に東京都板橋区において創業して以来、同社は一貫して自動車ブレーキ用摩擦材を軸に事業を展開してきた。1974年には茨城県猿島郡三和町に茨城工場を新設。その後、同工場内に研究所、ディスクブレーキ専門工場を開設するなど、堅実な設備投資を進めると共に、2005年には、本社を工場からもほど近い古河市に移転し現在に至っている。

営業部 森 一広氏

国内の一定規模以上の摩擦材メーカーは10社ほどあるが、それらは大きく自動車メーカーの純正部品メーカーと、自動車整備工場などで使われる補修部品メーカーに分けられる。冨士ブレーキ工業は後者で、同社製品の主要な得意先は全国の整備工場になる。

その一番の強みは、創業以来、ブレーキ用摩擦材専業メーカーとして、日本のモータリゼーションの歴史と共に歩む中で得た技術の蓄積と言うことができる。摩擦材は20~30種類の素材を焼き固めることで製造されるが、その配合比率によってさまざまな特性を備えることになる。「レシピ」と呼ばれる配合比率はまさに企業秘密で、70年近い歴史を持つ同社の技術力は、まさに一日の長を持っている。「市場のニーズは時代背景や用途に応じて多種多様です。そうした中、価格や納期も含め、お客様の要望にきめ細かく応えることができるのは、まさに長年に渡り蓄積してきたノウハウがあればこそだと考えています」と営業部 課長の田中 宏彰氏は力強く語る。

近年、ブレーキ用摩擦材の国内市場は縮小を続けている。その背後には、ハイブリッド車の急速な普及がある。減速時の運動エネルギーを電気に変える回生ブレーキにより、ブレーキ用摩擦材の摩耗が大幅に減ることがその理由だ。

こうした中、同社が積極的に取り組んでいるのが、海外進出と自動車以外の産業分野への展開だ。輸出については、既にアジア、中東、中南米を中心に全世界で同社製品が使われ、メード・イン・ジャパンの信頼性と共に高い評価を得ている。また、同社製品は、産業機械・建設機械用の摩擦材としても広く使われている。

その一方で、同社が最大の課題として掲げているのが、既存ユーザーの死守だ。全国の販売代理店、自動車部品商を自社の営業担当が回り、市場のニーズを積極的にヒアリングするなどの取り組みを通し、自動車に軸足を置いたビジネスを今後も展開していく考えだ。

業務への適応力を重視しパッケージの基幹システムを選定

冨士ブレーキ工業はこれまで10年にわたり、フルオーダーで構築した販売管理システムを運用してきた。しかし、サーバーOSの保守サポート終了により、システムリプレースが必要になった。同社は、稼働実績が豊富で、トラブルのないスムーズな運用が可能なパッケージシステムを前提として、後継システムの選定を開始。最終候補に残った2社のパッケージシステムを入念に検討した上で選択したのは、複合機などで以前から取引があったリコージャパンが提案した『SMILE BS2 販売』だった。

その第一の理由は、業務への対応力の高さだった。田中氏は言う。

「新システムはなによりも、カスタマイズなしにどれだけ標準機能で当社の業務に対応できるか、という点を重視しました。当社の業務には独自ルールが少なくないのですが、『SMILE BS2 販売』であれば、大部分の業務は基本機能だけでカバーできるのではないかと感じました。カスタマイズを最小限に留めることで、よりスムーズな導入や運用が可能なると判断したことが最も大きな選定理由になりました」

選定は2016年9月。そのほぼ半年後の翌年4月には本稼働を開始していることを考えると、「よりスムーズな導入を実現したい」という同社の狙いは確実に実現できたと言えるだろう。

自由帳票設計ツールが基幹データの活用に貢献

営業部 藤枝 裕美氏

もちろん、新システム入替えの取り組みの全てがスムーズに進んだわけではない。

同社の販売管理システムは基本的に、受注業務とそれに伴う在庫確認と不足分の製造指示、受注品の出荷指示と請求書発行、売掛管理に至る一連の業務を担ってきた。第一の課題となったのは、工場への「製造指示書」や「出荷指示書」の発行という概念が一般的な販売管理システムには存在しない点だった。この課題への対応として同社が着目したのは、『SMILE BS2 販売』の「自由帳票設計ツール」だった。自由帳票設計ツールでは、出力形式や出力項目、抽出条件を指定することで、システム内に蓄積された実績データをさまざまな角度から分析・活用できる。業務の可視化を目的に活用されることの多い同機能を利用することで、製造指示書や出荷指示書の出力が可能になる。

田中氏が見込んだ通り、「自由帳票設計ツール」の活用により業務の大部分はパッケージによる対応が可能だった。そうした中、同社が唯一カスタマイズによる対応を選択したのは、割引率に関する機能だった。

「販売管理パッケージの場合、割引率は見積もり機能上で処理することが一般的です。このやり方では、商品単位の割引率は見えにくくなります。商品単位で割引を行う当社の場合、商品別、商品分類別の割引率の可視化が不可欠と判断し、この部分のみカスタマイズを行っています」と田中氏は説明する。

第二の課題となったのは、1万6,000点という商品マスターのデータ移行である。これだけの品目の商品マスターを手作業で移行するのは困難だ。そのため旧システムから商品マスターをExcel形式で出力し、新システムに流し込むかたちで行っている。

また本稼働に先立ち、社内で運用マニュアルを作成したことも注目ポイントの一つだ。マニュアル作成を担当した営業部 藤枝 裕美氏はこう当時を振り返る。

「機能は基本的に旧システムと変わりありませんが、操作手順は若干異なる部分もあります。当社の場合、本社と工場が離れているため、工場側の担当者が操作に戸惑った際に直接指導するのは困難です。そこで当社の運用に対応した操作マニュアルを作成し、その都度工場の担当者に確認してもらえるようにしました」

さらに同社は、本稼働に先立ち、旧システムと新システムの並行稼働を3回に分けて行い、トラブルを洗い出した。こうした取り組みが本稼働後のスムーズな運用につながっていることは間違いない。

在庫を受注画面に表示 業務効率化に貢献

SMILE BS2販売』への移行は、冨士ブレーキ工業の基幹データ活用の大幅な進展につながった。その大きな役割を果たしたのが、既に触れた自由帳票設計ツールだ。

「各月にどの部門の商品が売れているか、あるいは輸出先でどの国の輸出が伸びているかなど、目的に応じた集計データが簡単に取れるようになったことはやはり大きいですね。またExcel形式でデータを抽出できるため、Excelによる集計処理も簡単に行えます。こうしたデータ再利用が進んだことが個人的には一番の導入効果だったと感じています」と田中氏は語る。

また業務効率化という部分でも『SMILE BS2 販売』は成果を挙げている。その一例が、標準機能として備わるリアルタイムの在庫管理機能だ。

「受注を入力すると在庫数が表示される点はとても助かっています。以前は、在庫の確認は別システムで確認する必要がありましたから、この点だけでも業務は大幅に省力化されています。また従来は商品名で注文を受けると、その都度、対照表で確認し商品コードを入力していました。しかし新システムでは、商品名でも検索できます。該当する商品の在庫がない場合は代わりの商品を探せるなど、受注作業がスムーズになりました」(藤枝氏)

また、顧客マスター上で各社の掛率が設定できるようになったことも大きなポイントである。数年に一度の価格見直しの際、同社はこれまで掛率に応じて顧客別に販売価格を手入力して対応してきた。移行後はシステム上で自動的に掛率計算まで行うため、こうした手作業は不要になった。さらに『SMILE BS2 販売』の標準機能である「入出庫機能」を活用し、原材料の在庫管理まで同一システム上で一貫して行うための準備も現在進んでいるという。

本稼働から約1カ月が過ぎた現在、今後の課題として挙げるのは、自由帳票設計ツールが備える「自由レイアウト表」の活用だ。定型化されたフォーマットに出力される「自由集計表」と違い、「自由レイアウト表」では、システム上のデータを取引リスト、商品注文書などさまざまな形式の帳票として出力することが可能だ。同機能の活用を通し、冨士ブレーキ工業はさらなる基幹データ活用と業務効率化を推進する考えだ。

会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記載内容は2017年6月現在のものです。

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