株式会社山富士様
鋼材卸売業向けシステムの活用で在庫回転率を短縮。経営情報も見える化
株式会社山富士様
『SMILE BS Power Steel』の活用で在庫回転率を2カ月短縮。経営情報の見える化も実現した、株式会社山富士様の導入事例をご紹介します。
業種:鉄鋼材料販売
従業員数:16名(2013年8月現在)
事業内容:H形鋼、コラム、丸鋼、パイプ、板材など豊富な種類の鋼材卸と加工
- 利用目的:
鋼材卸売業向けシステムの活用で在庫回転率を2カ月短縮 経営情報の見える化も実現
株式会社山富士は、建設業や製造業で使われる多種多様な鋼材を供給する総合鋼材卸企業だ。鋼材の一次加工にも対応し、埼玉県北部地域で確固たる信頼を勝ち得ている。同社は、常務取締役のリーダーシップのもと、鋼材卸売業向けシステム『SMILE BS PowerSteel』を活用した本格的な業務改善を遂行。業務の効率化とケアレスミスの軽減、さらに常備在庫品の正確な把握で在庫回転率を2カ月短縮するなど、めざましい成果を上げている。
- 導入の狙い
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- 手書き伝票を用いた重複処理の排除
- リアルタイムな在庫管理による適正在庫の維持
- 導入効果
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- 業務の大幅な効率化とケアレスミスの軽減
- 常備在庫品の正確な把握で在庫回転率が向上
- 管理帳票の活用で経営情報の見える化を実現
総合的な品ぞろえと一次加工で顧客ニーズに応える
株式会社山富士は1951年の創業以来、60年以上にわたり埼玉県北部地域で鋼材卸業を営んでいる。本社と在庫センターは、埼玉県熊谷市と深谷市にまたがる熊谷工業団地内にある。また、熊谷市の妻沼西部工業団地に妻沼加工センターを開設し、鋼材の一次加工も手がけている。
同社のアドバンテージの一つは、H形鋼、コラム、丸鋼、パイプ、板材など豊富な種類の鋼材を総合的に取りそろえている点だ。「この地域ではパイプなどを専業に取り扱っている鋼材卸企業が多く、当社のような総合的に鋼材を扱う企業はほかにありません。『山富士に来れば何でもそろう』というお客様からの期待に応え、地域の一番店として、鉄骨加工・組み立てを中心に、設備工事、建設工事関連など約400社の広範囲なお客様と取引を行っています」と常務取締役の吉田 将氏は語る。
もう一つのアドバンテージは、鋼材の切断や穴あけなど、鉄骨などを組みやすくする一次加工で付加価値を高めている点だ。「景気の低迷によって、加工工場の集約や廃止が相次ぎ、一次加工できる企業が極端に減りました。その中でお客様が求める一次加工品を短納期で供給しています」と吉田氏。
もともと埼玉県北部地域は、建設業が盛んな群馬県の鋼材需要に支えられて一定の地域市場を形成していたが、リーマン・ショック以降は長らく業況が低迷。ところが、2013年5月頃から建設業を中心に鋼材市場が活況を呈するようになった。「東日本大震災の被災地でも、鉄骨造の建築物は残っていたため、鉄骨は災害に強いことが再認識されました。その結果、工期も短縮できる鉄骨造の建設案件が急増し、消費税アップを見据えた駆け込み需要と相まって、加工が間に合わないほど仕事量が増えています」と吉田氏は話す。
鋼材市場が再び活発するなか、吉田氏が力をいれるのがIT化による業務基盤の整備だ。吉田氏が2年ほど前に入社したときから、その取り組みは始まった。
新システムへの移行を機に抜本的な業務改善に着手
同社では、吉田氏が常務取締役に就任する以前から『SMILEα AD 販売管理』をベースにした鋼材卸売業向けシステム『Power Steel』を導入していた。ところが、当時はPC操作に不慣れな社員が多かったため、部分的な運用にとどまっていた。それでも一部の業務は効率化されたが、事業規模の拡大に伴い、新たな課題に直面していた。
「わたしが入社した当時は、伝票は手書きで作成していました。その伝票の内容を後からシステムに入力し、売上管理などを行っていたのです。しかし、膨大な量の伝票を手書きで作成するのは非常に手間がかかります。そのうえ、手書き伝票からシステムへ入力するという無駄な作業が生じていたのです」と吉田氏は当時を振り返る。
多品種の鋼材を短納期で納品する同社にとっては、適正在庫の維持は最重要課題といえる。ところが、以前は半期に一度の棚卸しで在庫を掌握し、勘と経験で鋼材を仕入れているのが実態だった。その結果、在庫切れを防ぐために必要以上に在庫を抱えることが多く、過度の資金負担を余儀なくされていた。
吉田氏は、こうした従前の課題を解消するために、基幹業務システムの再構築を図る決断を下し、数社のベンダーの提案内容を比較検討。最終的にOSKをITパートナーに選定し、既存システムを『SMILE BS PowerSteel』にバージョンアップした。
それを機に基本的な業務の流れをパッケージに合わせることで、抜本的な業務改善を図るプロジェクトを始動させた。「OSKさんは、以前からお付き合いがあったので、当社の業務内容やシステム運用の実情を熟知されていました。そのうえ、何か困ったことがあると臨機応変に対応してくれるので、安心してお任せすることができました」と吉田氏は語る。
常備在庫をリアルタイムに把握 在庫の回転率を向上させる
新システムの構築にあたり、吉田氏が真っ先に着手したのが商品マスタの再整備だった。商品点数は7万点にも及ぶため、相当な時間を要した。重複や取引がないものを除き、点数を5万点に絞り込み、商品マスタの精度を高めることで、新システムによる業務改善がスムーズに行えるように配慮したのだ。
その後、旧システムとの1ヵ月間の並行稼働を実施し、2012年11月に新システムを本稼働。その効果は即座に発揮された。「受注時に直接データをシステムに入力することで、従来の手書き処理の無駄が省けるようになり、業務効率が格段にアップしました。同時に転記ミスなどの間違いもなくなりました」と吉田氏は語る。
また、常備在庫品をリアルタイムに把握できるようになり、顧客からの問い合わせにも即座に回答できるようになった。「以前は在庫が100個あっても、そのうちの50個はすでに買い手がついていることに気づかずに受注してしまうケースがよくありました。しかし、新システムの導入後は、実在庫は100個あるけれど、そのうちの50個は売約済みだということもPCから一目でわかるので、お客様に正確な在庫数を回答できるようになったのです」と吉田氏。
以前に比べて在庫の回転率も見違えるようによくなった。「メインの商品に関しては、従来は5ヵ月に一度のペースで在庫が入れ替わっていたのですが、今年7月末に調べたら、3ヵ月くらいで在庫が回転していることがわかりました。つまり、これまで売上を計上するまでに5ヵ月かかっていたものが、3ヵ月に短縮されたのです。これは経営面における大きな成果です」と吉田氏は表情を緩める。
管理帳票によるデータ分析で数字に基づいた経営判断を実現
吉田氏は『SMILE BS PowerSteel』の管理帳票を積極的に活用し、さまざまな角度からデータを分析することで経営上の意思決定に役立てている。「例えば、商品別の売上推移や得意先ごとの商品傾向などを定期的に分析しています。ある商品の出荷のペースが落ちているので、今回は商品の仕入れを見送ろうといった判断がしやすくなりました」と吉田氏は語る。
特に鋼材は相場変動が激しいので、安値で仕入れて高値で売ることで利益増につながる。しかし、そのためには、判断材料となる正確なデータを掴む必要がある。今回、IT基盤が整備されたことは大きな収穫だった。従来の勘と経験への依存から脱却し、リアルな数字に基づいた適切な経営判断が行える環境が整ったのである。
今後は、本社と妻沼加工センターをネットワークで結び、本社側で作成した作業指示書を加工センター側のPCから出力できる環境を構築したいという。さらに営業力を強化するためにモバイル端末の導入も視野に入れている。
「お客様先に訪問した際に、その場でモバイル端末を使って商品在庫や商品単価をお伝えできれば、販売チャンスを逃さずにスピーディな商談が行えます。将来的にはそこまでできるようにしたいですね」と吉田氏は今後のシステム展開に胸を躍らせる。
事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
この記載内容は2013年10月現在のものです。
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