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株式会社メディックス様

有効期限が短い処方薬の厳密な管理にロット管理オプションを活用

株式会社メディックス様

有効期限が短い処方薬の管理にロット管理オプションを活用し、先入れ先出しの徹底化を実現した、調剤薬局チェーンの運営を行う株式会社メディックスの事例を紹介します。

業種:卸・小売業
従業員数:30名(2015年5月現在)
事業内容:医薬品の卸販売、調剤薬局チェーンの運営

http://www.p-mdx.jp/

課題業務:

有効期限が短い処方薬の管理にロット管理オプションを活用 仕入れ先出の徹底化を実現

株式会社メディックスは、茨城、栃木、東京に6店舗を展開する調剤薬局チェーン。調剤薬局チェーンの運営と並行して医薬品卸業も営む同社において、大きな課題になっていたのは、市販薬と比べて有効期限が短い処方薬のロット管理を巡る問題だった。その解決に向け同社は、『SMILE BS 販売』と『ロット管理オプション』の活用を決断し、懸案だった"先入れ先出し"の徹底化を実現した。さらに新システムには、販売価格を仕入価格より低く設定しようとした場合にアラートが表示される機能を実装。ヒューマンエラー回避へのシステムによるサポートは、利益の確実な確保に貢献している。

導入の狙い
  • ロット管理の厳密化によって"先入れ先出し"を徹底したい
  • 原価割れが回避できるシステムを構築したい
導入効果
  • 正確なロット管理による"先入れ先出し"の徹底化
  • アラート表示による原価割れ販売の回避
  • 営業担当別の売上、利益率の可視化

患者様と医療機関に信頼される調剤薬局チェーンを展開

代表取締役 酒井 定義氏

株式会社メディックス(以下、メディックス)は、水戸市近郊に本社を構える地場調剤薬局チェーンだ。店舗網は茨城4店舗(2015年6月開業予定の1店舗含む)、東京1店舗、栃木1店舗の計6店舗。店舗の運営と並行して、本社では医薬品卸業も行っている。

以前から医薬品卸業に携わってきた代表取締役の酒井 定義氏が、同社を設立したのは1995年のことだ。設立後もしばらくの間は医薬品卸業だけを行ってきた同社が、1999年5月に栃木県塩谷町に初の調剤薬局を開業した最大の理由は、以前から取引があった地域の医療機関からの熱心な出店依頼だったという。

「実は、我々の方から調剤薬局を出店しようと動いたことはこれまで一度もありません。今年6月にオープンする新店舗も、数年前からの地元医師会の熱心な要請に応えたものです。出店用地がなかなか見つからず、時間が掛かりましたが、ようやく期待に応えることができました」と酒井氏は新規出店に関する同社のスタンスを説明する。

高齢化に伴い、医療費抑制が大きな社会的課題となる中、調剤薬局を巡る環境は厳しさを増しているのが実情だ。大手調剤薬局チェーンによる地場チェーンのM&Aが目立つ中、同社の一番の強みは、大手チェーンとは一味も二味も違う、人と人とのつながりを大切にした経営姿勢にある。地域の医療機関との信頼関係も、こうした経営姿勢があればこそのものだ。

今日の調剤薬局業界が直面する、薬剤師の人材難という課題においても、地域密着型の同社の経営は大きな強みを発揮している。

「薬学部の6年制への移行、そして業務の高度化に伴う国家試験合格率の低下によって、薬剤師は売り手市場が続いていますが、人材難にはもう一つの理由があります。それは有資格者に女性が多く、結婚など生活環境の変化に伴い、退職するケースが少なくないという点です」

しかし、メディックスに在籍している十数名の薬剤師の定着率は極めて高い。その背後には、各地域の患者様に向き合うことによる充足感があることは間違いないだろう。同社はこれからも自主独立路線を維持し、人と人とのつながりをこれまで以上に大切にしていく考えだ。

ロット管理の厳密化に向けシステムの機能強化を模索

自社のチェーン店舗に加え、50~60社の顧客に医薬品を卸してきたメディックス本社において、以前から課題になっていたのは医薬品の有効期限の管理を巡る課題だった。

医薬品の有効期限は製品ごとに定められているが、病院の処方薬は市販薬に比べて期限が短く設定されていることが一般的だ。有効期限を過ぎた医薬品は速やかな廃棄が求められるだけに、医薬品卸業務では、ロット管理の厳密化による"先入れ先出し"の徹底化が強く求められている。

「医薬品が商品として市場に出回る頃には、製造後3カ月程度が過ぎていることが一般的です。また、患者様の医薬品の品質に対する意識の高まりもあり、近年では期限切れまで3カ月を切った医薬品の納品は難しくなりつつあります。1年間の有効期限が設定された医薬品の場合だと、実質的に販売可能な期間はわずか6カ月間に限られてしまうわけです。ロット管理の厳密化は当社にとって、以前から大きな課題でした」(酒井氏)

これまで一般的な販売管理パッケージシステムを利用してきた同社の場合、売上伝票の作成時は、主にトレーサビリティの観点から、ロット番号と有効期限をシステムに入力はしていたが、在庫のロット管理は行えていなかった。そのため、有効期限が短いものがあとに残ってしまう問題もたびたび発生していたという。

「この課題解決に向け、当時使っていた販売管理システムのベンダーに相談したところ、対応は難しいという回答を得ました。そこで次に相談したのが、複合機などの取引が以前からあるリコージャパンの担当者だったのです」(酒井氏)

その際、提案を受けたのが、OSKの基幹業務システム『SMILE BS 販売』と『ロット管理オプション』による対応だった。『SMILE BS 販売』をシステムのベースとして、『ロット管理オプション』の機能を活用することで、必要最小限のカスタマイズでシステムが構築できることも提案のメリットの一つだった。

「既存の管理帳票に対応するかたちで、有効期限が短いものから順に出荷できるシステムが構築できるという説明をうかがい、すぐに採用を決定しました」と酒井氏は当時を振り返る。

原価割れアラート機能によりケアレスミスを大幅に削減

山本 牧江氏

新システムの導入は、薬価改正が施行された2014年4月のタイミングで、リコージャパンによってスムーズに行われた。その後、同社の決算期である8月までは新旧両システムを並行稼働。決算後に旧システムのデータを新システムに移行することで、よりスムーズなシステムリプレースを実現している。

新システムの最大の特長は、商品入荷時にロットナンバーと有効期限を入力することで、ロット管理の厳密化が実現した点にある。受注時には、有効期限が短いものから順にロットナンバーを表示。その指示に従い、出荷することで、"先入れ・先出し"がスムーズに行えるようになった。

「懸案だった仕入れ時からのロット管理の実現は、卸業務の効率化に大きく貢献しています。有効期限を含めた在庫管理ができるようになったことで、苦労することなく、期限が迫った商品から順に出荷できるようになっています。また納品後のロットナンバー管理がより正確に行えるようになったことも導入メリットの一つです。以前は、得意先からの返品の際などにロットナンバーをチェックしきれず、当社が納めた商品以外の返品を引き受けてしまうという事態も発生していました。今は得意先別に納品商品のロットナンバーを一覧できるので、こうした問題は回避できるようになっています」と語るのは、卸売業務を担当する山本 牧江氏だ。

新システムではもう一つ、新たな機能が採用されている。それは原価より安く販売しようとした際にアラートが表示される機能だ。

メディックスが取り扱う医薬品は3,000~4,000品目に及ぶ。医薬品の多くは複数の包装単位がある上、その単価は定期的に行われる薬価見直しなどによって常に変動している。そのため、商品マスタの管理には以前から大きな労力が割かれてきた。さらに薬価の変動は、販売時に原価が不透明になるという課題にもつながっていた。

「実際、これまでは原価割れに気づかず、数カ月間にわたって仕入れ値より安い値段で販売していたことも何度か発生していました。こうしたエラーをシステムとして回避する仕組みを作りたいと考えたことが導入の理由です」(酒井氏)

また、営業担当別の利益額が見えるようになったことも導入効果の一つだったと酒井氏は指摘する。

「新システムへの移行によって、全社的な経営状況だけでなく、担当者別の利益額や利益率も見えるようになりました。担当者にプレッシャーを与えるつもりはありませんが、自分の仕事が客観的な指標で判断できるようになることは、さまざまな気づきにもつながるはずと期待しています」

さらに『SMILE BS 販売』上のデータをCSV形式で出力することで、Excelでさまざまな加工が行えるようになったこともメリットの一つだ。また包装単位のコード化も含め、ハンディターミナルへの対応も図られている。

その一方で、既存帳票をベースにしたシステム移行は、新たな課題にもつながっている。それは納品伝票などの商品名の文字が小さく読みづらいという問題だ。

「成分名の表示を原則としていることもあり、日本の医薬品の名前は年々長くなっています。既存帳票の書式に合わせることを優先したため、文字を小さくして対応するほかなかったのがこの問題の要因です」と山本氏は説明する。

同社では今後、帳票のレイアウト見直しも含め、問題の解決を図っていく考えだ。

地場調剤薬局チェーンにとってIT化は避けられない課題に

リコージャパン株式会社
関東事業本部 茨城支社
水戸営業部 エリア
コーディネート 1グループ
斎藤 祐子氏

メディックスが今後の課題として掲げるのが、傘下薬局で発生しているデッドストックに関する問題だ。

「例えば医師が患者様にお薬を48錠処方したとします。100錠包装の場合、残る52錠は店舗の在庫になります。継続して処方していただければ問題ないのですが、医療水準の向上を図る上でも、次は別の薬を試したいと考えることが少なくありません。そのため、多くの調剤薬局では、膨大なデッドストックの発生という課題を抱えていることが一般的なのです」

すでに触れたとおり、期限切れ医薬品は廃棄するほかない。メディックスでも、毎年多くの医薬品を廃棄しているという。この問題の解決に向け、同社は現在、店舗間で在庫情報を共有化し、必要に応じて融通し合える仕組みの構築を検討している。

「大手チェーンさんでは当然行っていることですが、当社のような中小規模の地場チェーンの場合、こうしたシステムを導入するケースはまだまだ一般的ではないのが実情です。IT導入に向けた当社の取り組みを説明すると、取引先などに驚かれることも少なくありません」(酒井氏)

中小規模の地場調剤薬局チェーンの場合、今も在庫管理を紙ベースで行っているケースが少なくない。それだけに、IT化は今後の生き残りを図る上で大きなカギを握っている。その一方で酒井氏は、業務を全面的にシステムに頼り切ることへの危惧も感じているという。

「出荷業務の自動化によって、営業担当が実際の商品を一度も見ることなく出荷することも珍しくなくなりつつあります。こうした場合、『先日納品された青色のパッケージの商品だけど』といったお客様からの問い合わせに、営業担当はスムーズに対応することができないはずです。もちろん生産性の向上という観点からは、IT化は避けて通ることができない道ですが、そのリスクも確実に存在していることは見落とすべきではありません。業務を一方的に自動化するのではなく、各担当の経験にもとづいた判断を支援するという方向で、バランスの取れたIT化を推進していくことが大切だと考えています」

地域に根ざした調剤薬局運営を進める上で最後に必要になるのは、やはり"人"だ。人の判断を確実に支援していくシステムの構築に向け、パッケージシステムでありながらさまざまなニーズに柔軟に対応できる『SMILE BS 販売』に酒井氏は大きな期待を寄せている。

最後に酒井氏は「多くの調剤薬局にとって、デッドストックの削減が大きな経営課題になっています。今後、レセプトシステムに基づく店舗在庫管理システムと『SMILE BS 販売』との連携も含め、よりよいシステムを検討していきたいと考えています」と今後の抱負を語った。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記事内容は2015年6月現在のものです。

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