閉じる

2024年度 税制改正大綱で注目すべきポイント

法改正・税制関連

最終更新日:2024/3/29

2024年(令和6年)度の税制改正では、物価高による生活者の負担軽減や、賃金上昇の促進、資本の蓄積と生産性向上の強化、地域経済と中堅・中小企業の活性化につながるような対策が盛り込まれています。

ここでは改正内容のうち、「実務者向けのポイント」 に絞って、概要をまとめています。また、最後に企業経営を支援する制度についてもご紹介します。

改正内容の最新情報や詳細については財務省サイトをご確認ください。
財務省サイト(税制改正の大綱の概要):https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/06taikou_01.htm

セミナーのご案内
国税庁主催
給与支払者向け定額減税説明会
2024年3月下旬~5月の間、各地の税務署等で開催予定です。

実務に影響のあるポイント

所得税、個人住民税の定額減税

人々の負担軽減と経済の活性化を目的として、2024年度に限り、給与収入が2,000万円以下相当(合計所得金額が1,805万円以下)の場合、所得税3万円、住民税1万円が控除されます。

所得税は2024年の所得、住民税は2023年の所得で判断されます。

同一生計の配偶者や扶養家族についても対象となります。

対象となる配偶者や扶養家族は、給与計算における「扶養親族等の数」とは異なる場合があるので、注意が必要です。

このように、社員にとっては月々の手取りが増えるメリットがありますが、給与担当者にとっては、月々の社員ごとの控除額の記録が必要になるなど、業務の負担が多くなります。

給与計算時のポイント

所得税の定額減税に関して、以下のような業務が必要となります。

控除対象者を確認イメージ

扶養者含め、控除対象者を確認する

控除額を記載イメージ

月々の給与明細書に控除額を記載する

控除残高を把握イメージ

対象者ごとに減税額や毎月の控除額を記録し、控除残高を把握する

2024年6月から定額減税が実施されます。

OSKでは税制改正の施行にあわせて、下記製品について対応予定です。詳細はサポートページでご案内いたします。

  • SMILE V Air 人事給与
  • SMILE V 2nd Edition 人事給与
  • SMILE V 人事給与
  • SMILE BS 2nd Edition 人事給与
  • SMILEes 2nd Edition 人事給与

定額減税については国税庁の特設サイトをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

制度の概要やQ&A、コールセンターのご案内など、定額減税に関する情報を確認するのに役立ちます。

また、事務処理に関する動画も公開されているので、どのような処理が必要になるのか把握できます。

交際費から除外される飲食費に係る見直し

中小企業の活性化やデフレマインドの払拭を目指し、2024年4月1日以降、交際費の取り扱いが変わります。

交際費等の範囲から除外される一定の飲食費にかかる金額基準が、1人あたり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられます。

経費精算のルールや、社内規程の見直しが必要です。社員への周知不足による申請上の間違いなどを起こさないように、申請承認が可能なシステムや、社内規程を共有するためのシステムを利用すると便利です。

GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上

企業の煩雑な手続きを改善することを目的として、GビズIDを用いてe-Taxにログインできるようになります。GビズIDは社会保険手続きやIT導入補助金の申請など、さまざまな行政サービスにログインできる共通認証システムのため、アカウント管理を簡素化でき、スムーズな手続きが可能となります。

GビズIDとは:行政手続き等において、手続きを行う法人等を認証するための仕組み

e-Taxとは:国税電子申告・納税システム

法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ

支払調書等の提出にe-Taxを使用する必要のある枚数対象が、100枚以上から30枚以上に引き下げられます。

上記の改正は、2027年(令和9年)1月1日以後に提出すべき調書について適用されます。

対象となる企業については、e-Taxと連携する給与システムなどを利用することで業務負担を軽減できます。

インボイス制度関連

免税事業者等からの仕入に係る経過措置の見直し
同一事業者と一事業年度中に10 億円を超える取引を行った場合は、その超えた部分の課税仕入れについて、経過措置の適用が認められなくなります。
帳簿への住所等の記載の見直し
自動販売機および、自動サービス機で3万円未満で購入したものについて、帳簿への記載事項として、住所等の記載が不要になります。
簡易課税制度、2割特例対象小規模事業者の経理処理方法の見直し
税抜経理方式を適用している場合、仮払消費税額につき、継続適用を条件として課税仕入れに係る支払い対価の額に、110分の10(軽減税率の場合は108分の8)を乗じた金額とすることが認められるようになります。

インボイス制度対応がされていることはもちろんですが、それ以外にも、免税事業者等からの仕入れを区別して処理するといった便利機能を持った販売・会計システムを利用することで、作業の手間を省き、業務を効率化します。

企業のサポート面におけるポイント

賃上げ促進税制の強化

物価高に負けない構造的、持続的な賃上げの動きを広げ、効果を深めるために、賃上げ要件等について見直しが行われます。

企業区分ごとの対応
従来の大企業は「大企業」と「中堅企業(従業員数が2,000人以下)」にわけられ、中小企業含め、それぞれで賃上げ率の要件が設定されています。中小企業については、繰越控除制度が導入され、5年間にわたり賃上げを行った場合の税額控除が可能となります。
人材投資や働きやすい職場づくりにむけて
教育訓練費(研修、セミナー受講・資格取得などの費用)を増やす企業への上乗せ措置の要件を緩和したり、子育て支援や女性活躍支援を実施した企業(くるみん、えるぼし認定企業)に対し、上乗せ措置が新設されます。

戦略分野国内生産促進税制の創設

長期的な国内投資を促進し、生産・販売量に応じて減税を行う新たな制度で、日本の経済成長や産業競争力の強化に向けた取り組みです。この制度は、総事業費が大きく、特に生産段階でコストが高い以下物資等が対象です。

  • EV等、蓄電池
  • グリーンスチール(鉄鋼)
  • グリーンケミカル(基礎科学品)
  • SAF(持続可能な航空機燃料)
  • 半導体

イノベーションボックス税制の創設

国内で自ら研究開発した知的財産権から生じる一定の所得について、所得控除を行う新しい制度です。研究開発時点だけでなく、社会実装に取り組む全てに対し支援を通じて、さらなる研究開発や事業展開を後押しする役割を果たすもので、対象となる知的財産は以下となります。

  • 特許権
  • AI関連のプログラム著作権

中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充

成長意欲のある、中堅・中小企業が複数の中小企業を子会社化し、グループ一体となって成長することを後押しするために設けられた制度です。今回、M&Aを実施する際の積立率を段階的に拡大したり、据置期間を10年に延長するといった内容に拡充されます。

関連キーワード

製品お役立ち情報Contents

ご購入前の
製品/サービス
お問い合わせContact

企業のDX化や業務効率化に関するお悩みは「株式会社 OSK」へお気軽にご相談ください。

×

Cookieの利用について

このウェブサイトはクッキーを使用しています。このサイトを使用することにより、サイトの利用条件に同意したことになります。