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大本山 小湊 誕生寺様

信徒・檀家の膨大なデータを機能的に管理し、業務を大幅に効率化

大本山 小湊 誕生寺様

基幹業務システムを刷新してCRMを活用し、信徒・檀家の膨大なデータを機能的に管理することに成功した大本山 小湊 誕生寺の事例をご紹介します。

業種:寺院
従業員数:27名(2015年4月現在)
事業内容:各種祈願、永代供養墓管理など

http://www.tanjoh-ji.jp/

利用目的:

基幹業務システムを刷新してCRMを活用 信徒・檀家の膨大なデータを機能的に管理し諸業務の大幅な効率化を実現

千葉県鴨川市の大本山 小湊 誕生寺は、建治2(1276)年発祥の名古刹で、日蓮宗の大本山である。これまで利用してきたシステムの欠点を補うと共に、2021年に迎える日蓮聖人生誕800周年という一大行事の推進に向けて信徒情報や寄付金などの管理体制を強化するべく、基幹業務システムをOSKの『SMILE BS 2nd Edition CRM』にリプレース。各種登録情報の検索機能などを充実させることで、基幹業務の効率化・省力化を実現した。

導入の狙い
  • 信徒・檀家データの管理・運用体制の強化
  • データベースの検索機能の拡充
  • DM発送業務等の効率化
導入効果
  • 信徒・檀家データを任意のセグメントごとに管理できるようになった
  • 検索機能の拡充で必要なデータへの迅速なアクセスが可能になった
  • 信徒・檀家からの各種問い合わせに即応できるようになった
  • DM発送などの業務の負担が軽減した

発祥から700年以上の歴史を誇り観光スポットとしても名高い日蓮宗の大本山

財務部長 牧野 勝紘氏

大本山 小湊 誕生寺(以下、誕生寺)は、日蓮聖人の直弟子が建治2(1276)年に聖人生家跡に建立した高光山 日蓮 誕生寺を発祥とする。その後の大地震や大津波の天災に遭って現在の地に移り、水戸家の外護を得た26代日孝上人が七堂伽藍を再興して小湊山 誕生寺と改称された。宝暦8(1758)年の大火で全山を焼失したが、49代日闡上人が弘化3(1846)年に祖師堂を再建。昭和から平成にかけて「50万人講」を発願して諸堂が復興され、1992年に落慶式が行われて現在に至る。

布教部主事 佐野 貴仁氏

「鴨川市は千葉県有数の観光地です。当山は日蓮宗の大本山として全国信徒の参拝の地となっているだけではなく、四季を通じて多くの方が訪れる観光スポットとしての側面もあります」と説明するのは、布教部 主事の佐野 貴仁氏。

総門の仁王門は、宝永3(1706)年に建立された千葉県指定の文化財だ(1991年大改修)。宝暦年間の大火で焼け残った当山最古の建造物で、両側の仁王尊は上総の仏師松崎右京大夫法橋作、楼上の般若の面は左甚五郎作と伝えられる。本堂には貞享元(1684)年に大仏師左京法眼康裕によって作られた水戸家寄進の十界本尊木像が安置されるなど、境内には歴史的・文化的に価値の高い建造物や仏像が多い。

「観光者による拝観料や浄財に加え、将来の施設建立や改修に向けた『平成50万人講』事業による信徒の方からの寄付が当山の大きな収入となっています」と財務部長の牧野 勝紘氏は語り、その財務データや膨大な数の信徒や檀家のデータを管理することが重要な基幹業務になっていると言う。

膨大な数に上る檀家・信徒のデータを合理的に管理するシステムの構築が急務に

誕生寺の基幹業務システムが担う主な役割には、浄財や寄進などの財務管理、檀家や信徒の名簿管理、月刊で発行される広報誌『こみなと』の購読者管理などがある。近年は『Microsoft Access』を用いていたが、次第にその機能に不足を感じるようになったという。

「『Microsoft Access』のデータ管理項目は既成のものに限られ、自由に追加することができません。検索で入力できるのはカタカナのみで、信徒の方のお名前の『ズ』と『ヅ』を誤ったりすると正しく検索できないのも非常に不便です。同一の信徒の方の二重登録も多く、案内状などが重複して発送されるといった不都合もありました」(牧野氏)

データのバックアップ体制も不十分で、特に東日本大震災以降、非常時の対応への不安が募っていた。そこに重なったのが、長年利用してきたOS『Windows XP』のサポート期間が2014年4月に終了するという問題である。

「2021年には日蓮聖人の生誕800周年を迎え、当山ではそれに向けて『日蓮大聖人御降誕800年に向かっての祈り事業』を行い、本堂の修復や境内の整備などを進める予定です。信徒の方々からそのための寄進をお受けすることになるので、この『祈り事業』が本格化する前に基幹業務システムを万全なものに整備しておく必要に迫られました」と佐野氏はシステム刷新に至った経緯を振り返る。

OSKの基幹システムの導入でデータ管理の利便性が飛躍的にアップ

リコージャパン株式会社
千葉支社 館山事業所
チーフ 飯塚 俊雄氏

諸課題を解決するべく、複合機の運用管理などで誕生寺と数10年来の取引があるリコージャパンの担当者に相談したところ、OSKの基幹業務システム『SMILE BS 2nd Edition CRM』の活用を推奨された。

「OSKが定評あるメーカーということは知っていましたが、その製品を利用したことがなかったので、同社のホームページを隅々までチェックしたところ、会社組織が非常にしっかりしていることがわかり、まずはそのことに信頼感を抱きました。勧められた『SMILE BS 2nd Edition CRM』については、登録された個人データに『購買履歴』や『対応履歴』を関連情報として設定する機能があり、これを活用すれば当山の檀家や信徒様の情報を、さまざまなセグメントに分類して機能的に管理できそうだと思いました。検索性の自由度も高く、登録したデータをオリジナル帳票として出力できるといった点にも目をひかれました」(佐野氏)

製品のプレゼンテーションを受けた牧野氏と佐野氏は、他社の製品と比較検討するまでもなく導入を決めたという。稼働までの段取りやスケジュールが明確に示され、通常業務に大きな支障をきたすことなくシステムを移行できそうなことも魅力だった。

導入に際しては、特殊な項目を追加するためにプログラムの仕様定義を修正。寺院ならではの専門的な概念を反映させることに思いのほか労力を要したが、およそ半年かけてシステム構築がなされ、2015年2月に本稼働が開始した。

スタンドアローンで導入された『SMILE BS 2nd Edition CRM』は、「50万人講」に関しては財務部、一般信徒に関しては庶務部というように、それぞれの担当部署がデータの管理・活用をしている。

「期待したとおり、旧システムと比べて検索機能が格段に拡充し、さまざまなデータへのアクセスがスピーディーになったことに満足しています。信徒様からご自身の累積寄進額に関して質問されるようなことがありますが、そうしたお問い合わせにも即応できるようになりました。データのバックアップ体制も整備され、安心感を持って運用できるようになったのも大きなメリットの1つです」と牧野氏はその機能性を高く評価する。

旧システムではデータベースの台帳自体を印刷することができず、必要なときはモニターを見ながら手で書き写すしかなかったが、リプレース後は台帳印刷も自在にできるようになった。宛名をラベル印刷することで広報誌等の発送作業も迅速になるなど、新システムは多くの業務の効率化・省力化に大きく貢献しているという。

寺院という経営環境に適ったIT化を推進していく

一般企業であればさらなるシステム化によって業務全体の合理化を推進するところだが、寺院の場合は少し事情が異なっている。

「例えば信徒様にご提供する情報をすべて電子化すれば大幅な効率化が図れますが、年配の方が多いだけに、案内状や広報誌など昔ながらの紙媒体を使うことが欠かせません」と牧野氏。

その一方で、「当山は小湊を訪れる多くの方が立ち寄られる観光寺でもあるので、ホームページで充実した情報を発信するといった工夫も重要ですし、経費節減のための努力を怠ることもできません」と佐野氏。

特に日蓮聖人の生誕800周年に際する一大行事の展開には、これまでにも増して合理的な寺院経営が求められる。寺院としてバランスの取れたシステム化や効率化を図ることは、結果として檀家や信徒の利益につながることなので、必要なIT化には今後も積極的に取り組んでいきたいと両氏は語った。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

この記事内容は2015年4月現在のものです。

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