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ちょこ解 「二以上勤務者」ってナニ? ~社会保険適用拡大で再確認すべきこと~

ちょこ解シリーズ

最終更新日:2024/9/13

2024年10月1日から社会保険の適用範囲が拡大されることで、「二以上勤務者」に新たに該当する従業員がいる場合は、社会保険の手続きにおいて確認・注意が必要になります。

社会保険適用拡大の対象になる会社だけでなく、従来から対象の会社でも、従業員が二以上勤務者に該当する場合があります。

ここでは、そんな「二以上勤務者」についてちょこっと解説していきます。

二以上勤務者とは

働き方の多様性により、副業・兼業など、複数の会社で勤務を行う従業員が増えています。

その中でも、同時に2カ所以上の会社(※1)で社会保険(※2)の加入要件を満たし、それぞれ社会保険に加入する必要のある従業員(※3)のことを「二以上勤務者」といいます。

  1. 短時間労働者を社会保険の適用対象とすべき会社を「特定適用事業所」といいます。対象となる会社が拡大されることにより、これまで該当していなかった従業員が、新たに二以上勤務者に該当する可能性があります。
  2. ここでいう「社会保険」は、狭義の社会保険(健康保険と厚生年金保険)です。
    雇用保険は、二つ以上の事業所で加入することはありません。
    労災保険は、事業所単位で加入するため、二以上勤務者であるかは関係ありません。
  3. 特定適用事業所では、以下のすべての要件を満たす短時間労働者が、社会保険加入対象となります。
    • 週の所定労働時間が20時間以上
    • 月額賃金が8.8万円以上(残業代、賞与等は含みません)
    • 2カ月以上雇用される見込みがある
    • 学生ではない

Point

自社内に複数の会社で働いている従業員がいる場合、現段階で二以上勤務者に該当するかを確認しておくと安心です。

また、これから採用する短時間労働者には、あらかじめ二以上勤務者に該当する可能性等の説明を行うと良いでしょう。

従業員(二以上勤務者)が行う作業

二以上勤務者に該当する場合、以下の手続きが必要です。

  1. 労働時間や収入、雇用形態などから、どの会社がメインであるかを選択する。
  2. 選択した会社(選択事業所)の管轄年金事務所などに、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届(以下、二以上事業所勤務届)」を提出する。

これらを実施することで、会社による手続きが行えるようになります。

二以上事業所勤務届は、正確に社会保険料を計算するためにも重要なものとなりますので、忘れずに提出する必要があります。日本年金機構のサイトから届書様式をダウンロードすることができますので、確認しておくと良いでしょう。

会社(特定適用事業所)が行う作業

会社の担当者が行う作業について、ポイントをいくつかご説明します。

【従業員への周知】

自社の従業員が他の会社で勤務していないか、二以上勤務者に該当しないかの確認が必要です。また、該当者自身で「二以上事業所勤務届」の提出が必要な旨などを周知しておくと良いでしょう。二以上事業所勤務届の流れを把握しておくと、スムーズに案内ができます。

【各種届出】

会社が提出する「被保険者資格取得届」は、二以上勤務者の場合、選択したメインの会社(選択事業所)の管轄年金事務所などに提出することになります。それをもとに、日本年金機構から各会社宛に、按分された社会保険料に係る通知が届きます。

各会社における月変・算定・賞与の手続きにおいて、他の会社での報酬額や賞与支払い回数を合算する必要はありません。

【保険料の計算】

二以上勤務者の場合、各会社の月額報酬を合算し、保険料を按分することになります。

この保険料の決定は、メインの会社(選択事業所)の管轄年金事務所などが判断します。給与システム等で社会保険料を算出している場合は、金額が異なるので手入力などの必要があります。

【育児休業中の対応】

育児休業中の社会保険料免除の条件として、「月内に14日以上の育児休業取得(※)」があります。

二以上勤務者が育児休業を取得する場合、保険料の免除については会社ごとに判断します。他の会社で取得した育児休業の日数を合算することはできません。

二以上勤務者が育児休業を取得する際には、自社で14日以上取得した場合のみ保険料の免除が受けられることを、事前に説明しておくと良いでしょう。

連続して14日間である必要はありません。例えば、月の初めから中旬まで育児休業を取得し、その後月末に再度育児休業を取得する場合でも、合計で14日以上であれば保険料が免除されます。

社会保険適用拡大は目前です。今回の拡大で新しく社会保険適用対象となる会社だけでなく、従来から対象の会社でも、複数会社で働く方がいないか再度確認しておくことをおすすめします。

実務担当者は短時間労働者など該当の方々への説明を早めにおこなっておきましょう。

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