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ちょこ解 貨物自動車運送事業法改正で、どうなる?

ちょこ解シリーズ

最終更新日:2025/2/18

輸送力不足を解消するため、物流2法が改正され2025年4月に施行されます。物流の効率化や商慣行の見直し、荷主企業や物流事業者など、業者間の協力が必要であり、持続的成長を図るための対策が求められています。

ここでは、物流2法のうち、貨物自動車運送事業法の改正についてちょこっと解説します。

本記事の最後に、改正対策のヒントになる資料をご紹介しております。是非最後までお読みください。

物流業界の現状

物流業界は、2024年問題による物流の停滞が懸念されるなど、いくつかの深刻な課題に直面しています。

2024年問題をきっかけに表面化した課題
  • 高齢化と若年層の人手不足
  • 労働時間の短縮による輸送力の低下
今回改正の背景にもなった課題
  • 適正な報酬が得られない
  • 事故のリスクの高まり

改正の背景になった課題をデータでみてみましょう。

7割以上の事業者が運送依頼を受けており、そのうち約5割がさらに孫請けに依頼しています。このため、荷主が実際に運送を担当した事業者を把握できていないことが多いのが現状です。多重下請け構造になると、中間マージンが発生し、実際の運送事業者に渡る運賃が減少します。結果として、ドライバーの賃金も低下してしまいます。

また、多重下請け構造により、ドライバーの労働条件などが悪化し、事故が増加傾向にあります。特に、宅配便の取り扱い個数増加の影響で、軽トラックによる運送需要が拡大していることから、軽トラックの事故リスクが倍増していると調査結果が出ています。

出典:国土交通省「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」

これらのことから、荷主も運送の実態を把握することと、運送に関して適正な価格で取引が行えるような体制を整え、商習慣を見直すとともに、事故を減らす、といった目的で貨物自動車運送事業法の改正が行われました。

改正でかわること

今回の改正で義務化されることが5つあります。

  1. 実運送体制管理簿の作成と保管
  2. 運送契約の締結等に際し書面交付
  3. 発注適正化に関する管理規程を作成と管理者の選任
  4. 安全運転管理者の選任と講習の受講
  5. 事故の記録と報告

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.実運送体制管理簿の作成と保管

作成対象者
運送を委託した元請け事業者
作成要件
貨物重量1.5トン以上の運送(貨物の運送単位で作成)
電磁的記録もOK
引き受けた貨物の運送が完了した日から1年間保管が必要
記載内容
実運送を行う事業者の商号や名称
貨物の内容および区間
請負階層

この管理簿は、荷主などから回覧請求があった場合、元請けが提出します。

また、運送業務を実際に行った受託事業者は、管理簿を作成する必要はありませんが、業務の記録を管理し、元請けに報告する必要があります。立場に応じた対応を認識しましょう。

2.運送契約の締結等に際し書面交付

運送事業者と依頼側(荷主など)との間で、契約内容を明確にすることで、トラブルを防ぐことができます。提供する役務の内容(貨物の種類、重量、運送日時、積み込み・積み下ろしの場所など)やその対価(運賃、附帯業務料、燃油サーチャージなど)等を書面に記載し、特に、現在書面化が進んでいない附帯業務料や燃油サーチャージを含むことを徹底しましょう。

3.発注適正化に関する管理規程の作成と管理者の選任

  • 一定規模以上の企業が対象です。下請けを依頼する際の発注を適正に行うためのルールなどをまとめた管理規程を作成し、それらを取りまとめる管理者の選任も必要です。
  • また、企業規模関係なく、下請け事業者への発注適正化について努力義務も課せられています(下請け関係に入る利用運送事業者含む)。

4.安全運転管理者の選任と講習の受講

一定数以上の自動車を持つ事業所では、安全運転管理者を選任し、2年ごとに講習を受講させる必要があります。安全運転管理者を選任・届出しなかった場合は、罰則があるので注意しましょう。

5.事故の記録と報告

  • 事故が起きてしまった場合、概要や要因、再発防止対策等を記録し、3年間保存する必要があります。
  • また、事故の詳細を記載した事故報告書を30日以内に運輸監理部長または運輸支局長を経由して国土交通大臣に提出します。特に重大な事故が発生した場合には、24時間以内にできる限り速やかに運輸監理部長または運輸支局長に報告することとされています。

1~3は、業界で課題となっている多重下請け構造を是正し、取引の公正さを向上させる内容となっています。

4・5については、既にトラック事業者に適用されていたものですが、新たに軽トラック事業者も対象となりました。これにより、業界全体として安全管理に力を入れていく狙いがあります。

3・4については、対象企業が限られるので、自社が該当するか確認しましょう。

改正の詳細はこちら【国土交通省サイト】

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html

改正対策として取り組むこと

このように、会社としてやるべきことが増えます。

企業規模関係なく義務化となるそれぞれの内容について、必要となる対策は以下です。

  • トラック事業者間の取引を適正におこなうために
    • 実運送体制管理簿の作成と報告内容の記録
    • 書面化された運送契約の確実な保管
  • 事故を減らすために
    • アルコールチェックや勤怠管理など従業員の状態を把握(労務管理)

これらの具体的な内容や、システム化して対策するポイントをご紹介します。業務の見直しにお役立てください。資料のダウンロードはこちらから!

今回の改正で義務化される内容を把握し、早速対策にとりかかりましょう。

システム化により業務効率を向上させた運送業の事例はこちら▼

富士陸送株式会社様

※2025年2月時点の各機関の情報をもとに記事を作成しています。

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