ちょこ解 下請代金遅延等防止法の運用ルール変わりますよ
最終更新日:2024/9/ 5
2024年11月1日から「下請代金遅延等防止法(下請法)」の運用ルールが変わります。手形を下請代金の支払いに用いる場合、サイトが60日を超える手形等は「割引困難な手形」として行政指導の対象となります。
また、「買いたたき」の解釈、考え方が明確になりました。
「下請代金遅延等防止法」とは
「下請法」においては、発注者側に支払いに関する4つの義務が生じます。
- 発注書面の交付義務
口頭発注によるトラブルを避けるため、代金の額、支払期日、支払方法等の発注内容を明記した書類を交付する義務があります。
仕入先に書類交付をしているかどうかを確認しましょう。 - 発注書面の作成、保存義務
取引に関する記録を書類として作成し、2年間の保存が義務付けられています。 - 支払期日を定める義務(60日以内でできる限り短い期間内)
検査の有無にかかわらず、発注した物品を受領した日から60日以内のできるだけ短い期間内で支払期日を定める必要があります。
現在の支払条件を事前に確認しておきましょう。特に、手形が60日を超える支払サイクルになっていないか、あらかじめ確認、準備が必要です。 - 遅延利息(年率14.6%)を支払う義務
支払期日までに支払いを行わなかった場合、受領した日から起算して60日を経過した日から、支払われるまでの期間に対して、遅延利息(年率14.6%)を支払う義務があります。
- 3.支払期日を定める義務については、「支払条件の改善」が課題の1つとして位置づけられており、実現に向けた以下の検討が進んでいます。
- 下請代金の支払いは、原則現金によるものとする
- 手形を現金化する際にかかる割引料等のコストについては、親業者による負担を進める
- 2026年の約束手形の利用廃止に向けた取り組みの推進
60日以内の支払いを行っていることが確認できるように、あらかじめ準備をしておきましょう。
「買いたたき」の具体例
下請法では、「買いたたき」を禁止行為としています。「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」という定義の、「通常支払われる対価」について、解釈指針ではなく、具体例が例示されました。
- 従前の給付に係る単価で計算された対価に比して、著しく低い下請代金の額
- 労務費や原材料価格などのコスト上昇が公表資料※から把握できる場合において、据え置かれた下請代金の額
※公表資料とは、以下のような資料が該当します。
- 都道府県別最低賃金状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html - 春季労使交渉賃上げ状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/shuntou/roushi-c1.html - 消費者物価指数
https://www.stat.go.jp/data/cpi/1.html
下請法違反に対する処置
下請法違反の取り締まりは以前よりも強化されていて、違反した場合のペナルティやリスクも大きくなっています。
親事業者は、下請法を遵守して適切な発注対応を行う必要があります。約束手形は2026年に利用廃止となるため、支払いサイトの見直しを行うだけでなく、「銀行振込による支払い」や「でんさい※」への切り替えも検討すべきでしょう。また、適切な発注書面の交付や、2年間の保存を確実に行うための仕組みも不可欠です。
意図せずに法令に反する対応を行ってしまうことのないように、効率的に業務を進められるシステムの導入をお勧めします。
「でんさい」とは、手形に代わる電子記録債権です。ペーパーレスのため発行・保管事務の削減が見込め、印紙代が不要で、手形同様に割引も可能です。ただし所定の手数料が発生します。
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