生産管理システムのカスタマイズはどこまで可能?範囲やリスク、依頼前の注意事項を解説
最終更新日:2026/08/20
生産管理システムの標準機能で自社の業務に対応しきれない場合は、カスタマイズが有効です。ただし、カスタマイズは追加費用が発生するほか、バージョンアップに影響を及ぼす可能性もあるため、必要性を見極める必要があります。
本記事では、生産管理システムでカスタマイズできる範囲や、カスタマイズに伴うリスクを解説します。カスタマイズの依頼前に確認しておきたいポイントも紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 生産管理システムをカスタマイズする際の注意事項
- カスタマイズ費用の目安
- 依頼する前に確認すべきこと
生産管理システムのカスタマイズとは

最初に、生産管理システムのカスタマイズの定義と、スクラッチ開発との違いを解説します。
標準仕様に自社業務に合わせた変更を加えること
生産管理システムのカスタマイズとは、パッケージ製品をベースに、自社の業務に合わせて機能を追加・変更することです。
標準機能では対応しきれない業務や特殊な工程がある場合でも、カスタマイズによって自社の運用に適したシステムを構築しやすくなります。
生産管理システムのカスタマイズ方法は、大きく分けて以下の2種類です。
- アドオン開発:不足する機能を追加する
- カスタマイズ:ソースコードを改修する
本記事では、上記の2つを総称してカスタマイズと定義し、解説します。
スクラッチ開発との違い:ベースとなる仕様があるか
カスタマイズとスクラッチ開発との違いは、ベースとなる仕様があるかどうかです。
カスタマイズは、既存のパッケージ製品をベースに、必要な機能の追加や仕様変更を行う方法です。一方、スクラッチ開発は、企業の業務内容や運用方法に合わせて、システムをゼロから設計・開発します。
スクラッチ開発は自由度が高く、希望を細かく反映できますが、開発期間や費用が大きくなる傾向があります。これに対して、カスタマイズは既存システムを活用しながら必要な部分のみを変更するため、コストや開発期間を抑えることが可能です。
カスタマイズのできる範囲はどこまで?

生産管理システムのカスタマイズは、パッケージ製品をベースに機能を追加・変更するため、すべての機能を改修できるわけではありません。
ここでは、一般的な生産管理システムにおいて対応できるカスタマイズの範囲を解説します。
帳票・レイアウトの変更
納品書や作業指示書、各種伝票などの帳票は、フォーマットやレイアウトを変更できるケースがあります。
自社独自の帳票や取引先が指定するフォーマットに対応できるため、手作業で編集する手間を削減できるほか、入力ミスの防止にもつながります。
入力画面の項目追加・変更
標準機能で必要な情報の管理が難しい場合は、入力画面の項目追加や変更によって対応できることがあります。
例えば、製品管理において自社で独自の管理項目を追加すれば、必要な情報を一元管理しやすくなり、業務効率化が期待できるでしょう。
ただし、入力画面の項目追加や変更は、バージョンアップ時の改修工数が増えるケースも考えられます。そのため、カスタマイズを検討している場合は、長期的な運用を見据えた慎重な判断が必要です。
外部システムとのデータ連携
生産管理システムは、外部システムとのデータ連携が可能です。標準機能で連携できるケースもあれば、カスタマイズによって対応するケースもあります。
例えば、販売管理システムや会計システムと連携すれば、受注情報や売上データなどを自動で取り込み、二重入力の手間を削減できます。入力ミスの防止や迅速な情報共有につながり、業務全体の効率化が期待できるでしょう。
マスター項目の拡張
標準のマスター項目だけで管理したい情報が不足する場合は、マスター項目の拡張により対応できる場合があります。マスター項目とは、生産管理システムで欠かせない基本となるデータであり、主に以下のようなものがあります。
| マスター項目 | 内容 | 主な登録内容 |
|---|---|---|
| 品目マスター | 製品・部品の情報を管理する | 品番、品名、標準単価 |
| 工程マスター | 工程情報を管理する | 工程コード、工程名、標準作業時間 |
| 得意先マスター | 得意先情報を管理する | 得意先コード、企業名、担当者 |
| 仕入先マスター | 仕入先情報を管理する | 仕入先コード、企業名、担当者 |
| マシンマスター | 設備・機械の情報を管理する | マシンコード、名称、稼働時間 |
マスター項目は、各種データを管理するための大分類を指します。一方、前述した入力画面の項目は、それぞれのマスター項目に登録する具体的な情報です。
標準のマスター項目だけでは管理したい情報に対応できない場合は、マスター項目を拡張することで、自社の運用に合わせた情報管理が可能になります。
生産管理システムをカスタマイズした場合のリスク

生産管理システムのカスタマイズは、自社の業務に合わせた運用を実現できる一方で、保守や運用面でリスクが生じる可能性があります。
ここでは、生産管理システムをカスタマイズする際に知っておきたいリスクをご紹介します。
バージョンアップに対応できなくなる
生産管理システムの種類やカスタマイズ内容によっては、バージョンアップに対応できなくなる可能性があります。
バージョンアップを実施できないと、新機能の追加や機能改善の恩恵を受けられません。また、セキュリティ対策や不具合修正が適用されず、システムの安全性が低下する恐れがあります。
ベンダーや担当者への依存度が高まる
カスタマイズを重ねると、生産管理システムが自社独自の仕様となり、仕組みが複雑化しやすくなります。標準のマニュアルでは対応できなくなり、システムの内容を理解しているベンダーや担当者への依存度が高まる可能性があります。
そのため、担当者の異動や退職によってノウハウが失われると、トラブル発生時の原因調査や復旧に時間がかかりやすくなるでしょう。
入力項目が増え現場での操作が複雑になる
帳票や入力画面を細かくカスタマイズし、従来と同じような運用や、より詳細な情報を管理できるようにしたいと考える企業もあるでしょう。
しかし、必要以上に入力項目を追加すると、操作が複雑になり、入力作業の負担が増える可能性があります。業務効率化を目的としたカスタマイズであっても、現場担当者の負担が増え、かえって生産性を低下させてしまうかもしれません。
カスタマイズにかかる費用や工数の目安

生産管理システムのカスタマイズにかかる費用や工数は、業務内容や運用方法、カスタマイズの範囲によって大きく変わります。 そのため、一律の料金は設定されておらず、個別での見積もりを提示されるのが一般的です。
基本的には、カスタマイズ項目が増えるほど初期費用だけでなく、運用開始後の保守費用も増加しやすくなります。
生産管理システムをカスタマイズする際は、導入時の費用だけでなく、保守費用を含めたトータルコストを考慮したうえで、必要性を判断することが重要です。
基本的にカスタマイズ項目は少ないほうがいい

生産管理システムを必要以上にカスタマイズすると、保守性の低下や運用コストの増加につながる可能性があります。
ここでは、生産管理システムのカスタマイズ項目は少ないほうがいい理由と、カスタマイズを抑えるための考え方を解説します。
長期運用で負の遺産になりやすい
カスタマイズを積み重ねるほど標準機能との違いが大きくなり、バージョンアップに対応できない箇所が増える可能性があります。
その結果、ベンダーが提供する新機能が利用できなくなったり、ソフトウェアの更新(バージョンアップ)時に追加費用が発生したりする可能性も考えられます。長期間にわたって生産管理システムを運用することを考えると、将来的な保守性や費用対効果も踏まえて、カスタマイズの範囲を検討することが重要です。
仕様確定の遅れにより納期遅延が起こる
カスタマイズの項目が増えると、仕様を検討・確認する箇所も増えるため、要件の確定に時間がかかりやすくなります。状況次第では開発スケジュールが長期化し、システムの稼働開始が遅れる可能性があります。
特に、仕様の最終決定権を持つ担当者がベンダーとの打ち合わせに参加していない場合は、確認や承認のやり取りが増え、意思決定に時間を要しやすいです。円滑に開発を進めるためには、決定権を持つ責任者が打ち合わせに参加し、その場で判断できる体制を整えることが望ましいでしょう。
帳票の追加や外部連携での対応がベター
バージョンアップへの影響を抑えるには、システムの中核機能を改修するのではなく、影響の少ない方法で要件を満たせないかを検討することが大切です。
例えば、帳票の追加はシステムの基本機能への影響が比較的小さいため、バージョンアップにも対応しやすいケースが多くあります。
また、管理項目や計算ロジックを変更する代わりに、外部システムとのデータ連携を活用することで、自社の運用に対応できる場合もあります。まずは、標準機能や周辺機能で理想に近いシステムを実現できないかを検討しましょう。
標準機能が業務にフィットする製品を選ぶのが最善
カスタマイズを最小限に抑えるには、自社の業務にフィットする生産管理システムを選ぶことが最も重要です。
近年は、業種や生産方式に特化したパッケージ製品が提供されており、標準機能だけで業務に対応できる製品も増えています。
標準機能が自社の業務に適した生産管理システムを選べば、大規模なカスタマイズが不要となる可能性が高いです。導入コストや保守費用を抑えながら、長期的に安定した運用を実現しやすくなります。
カスタマイズを依頼する前に確認すべきこと

ここでは、生産管理システムのカスタマイズを依頼する前に確認すべきことをご紹介します。
バージョンアップによるリスクが高い項
カスタマイズの内容によって、バージョンアップへの影響は大きく異なります。
一般的に、帳票の追加や外部システムとの連携はバージョンアップへの影響が小さいですが、画面構成や計算ロジックの変更は、バージョンアップが難しくなる可能性があります。
影響の大きいカスタマイズは製品によっても異なるため、希望するカスタマイズがバージョンアップにどの程度影響するのかをベンダーに確認しておきましょう。
ソースコードの変更を伴うか否か
生産管理システムのカスタマイズには、設定変更のみで対応できるものと、ソースコードの変更が必要なものがあります。
ソースコードを書き換えれば、自社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズを実現することが可能です。
しかし、バージョンアップのたびに個別の調整が必要となり、保守費用が増える可能性があります。また、カスタマイズの内容次第では、バージョンアップの対応が難しくなるリスクも生じます。
長期的な運用を考えると、ソースコードを変更しない範囲でのカスタマイズに留めておくのが無難といえるでしょう。
バージョンアップ時の保証内容
カスタマイズを依頼する際は、バージョンアップ時の保証内容についても確認しておきましょう。
カスタマイズの内容によっては、バージョンアップの保証対象外となり、更新時に追加費用が発生するケースがあります。また、各ベンダーでカスタマイズ部分の改修費用や対応範囲が異なるため、保守契約の内容を含めて確認しておくことが大切です。
自社の生産方式に合った製品ラインがあるか
生産管理システムを選ぶ際には、自社の業務や生産方式に適した製品ラインアップが用意されているかを確認することが重要です。
例えば、組立業や加工業では必要となる機能が異なるほか、繰返受注生産・個別受注生産など、生産方式によっても求められる管理方法は変わります。そのため、ベンダーによっては、業種や生産方式に応じた機能を備えた製品をラインアップしている場合があります。
自社に適した生産管理システムを選定できれば、標準機能だけで多くの業務に対応できるため、大規模なカスタマイズを行わずに運用できる可能性が高まるでしょう。
自社の生産方式に合った生産管理システムを選ぶなら「生産革新シリーズ」

自社の業務や生産方式に合った生産管理システムを選びたい方には、「生産革新シリーズ」がおすすめです。「生産革新シリーズ」の主な特長を見ていきましょう。
製造業種別に製品が分かれ標準機能でカバーできる範囲が広い
「生産革新シリーズ」では、製造業種に応じて以下の5つの製品を展開しています。
| 製品 | 製造業種 |
|---|---|
| 生産革新 Fu-jin | 組立業(標準品の繰返し生産) |
| 生産革新 Raijin | 組立業(標準品・個別品の混合生産) |
| 生産革新 Ryu-jin | 加工業(量産型の繰返し生産) |
| 生産革新 Wun-jin | 加工業(多品種小ロット生産) |
| 生産革新 Blendjin | 配合型製造業(化学・食品・薬品など) |
例えば、「生産革新 Wun-jin」は、特殊加工品や精密板金加工品、機械部品、試作品などを扱う、多品種小ロット生産の加工業に適したシステムです。マスター登録を行わずに受注登録できるため、多品種小ロット生産に求められるスピーディな受注対応を実現します。
「生産革新シリーズ」の各製品には、それぞれの製造業種に適した機能が搭載されています。各製品の特長や機能については以下で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
保守契約期間中は最新版を随時提供
「生産革新シリーズ」は、保守契約期間中はソフトウェア更新サービスにより最新版を利用できます。また、多品種小ロット生産の加工業向けである「生産革新 Wun-jin」はクラウド型のため、常に最新バージョンを利用できる点が特長です。
法改正への対応や機能改善が行われた場合でも、スムーズに最新版へ更新できるため、システムを長期にわたって安心して運用しやすくなります。
まとめ

生産管理システムを自社業務に合わせてカスタマイズすることで、業務効率の向上が期待できます。一方で、カスタマイズの範囲が広がるほど導入コストが増加するだけでなく、バージョンアップへの対応が難しくなる可能性があります。
そのため、自社の製造業種に適した製品を選び、標準機能を最大限活用することで、カスタマイズの必要性を最小限に抑えることが重要です。
「生産革新シリーズ」は、製造業種ごとに5つの製品をラインナップしており、自社に適したシステムを選択できます。カスタマイズにかかる期間や費用を抑えながら、自社に最適な生産管理システムを導入したい方は、ぜひご検討ください。
- 導入事例
業種別・従業員規模別・利用目的別に事例を絞り込んで検索でき、自社の状況に近い企業の導入実績を簡単に確認できます。実際に得られた業務改善効果や、現場での具体的な活用方法、導入までのプロセスなど、検討に役立つリアルな情報を把握でき、システム導入のイメージをより明確に描くことができます。
- まずは体験版で使い心地を確認
システム導入前に実際の操作感を確かめたい方には、無料体験版をご用意しています。実際の業務画面を操作しながら、自社の業務フローに適しているか、使いやすさはどうかを事前に確認することができます。
生産革新シリーズでは、「Wun-jin」のみお試し可能です。
- 詳しい情報はカタログで
製品の機能詳細や仕様、検討に必要な情報をまとめて確認できるため、社内での比較検討やご提案資料としても最適です。ぜひ導入検討の第一歩としてご活用ください。
- 専門スタッフへのお問い合わせ
「自社の業務に合うか相談したい」「具体的な見積もりが欲しい」など、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが、お客様の業務課題に応じた最適なソリューションをご提案いたします。
- 関連業務・キーワード
関連する製品・サービスProduct / Service
-

製造業向け生産管理システム「生産革新シリーズ」
OSKの製造業向け生産管理システム「生産革新シリーズ」は、生産計画・原価・工程・実績管理から販売管理まで行える、製販一気通貫型の中堅・中小企業向けの生産管理システムです。
-

生産革新 Fu-jin SMILE V 2nd Edition
「DX統合パッケージ 生産革新 Fu-jin」は、生産計画、所要量計算、製造指示書、製造管理、工程進捗管理などが行える、組立業向け生産管理・販売管理一体型ソフトです。ファブレス企業でも利用可能です。
-

生産革新 Raijin SMILE V 2nd Edition
OSKの「生産革新 Raijin SMILE V2」(オンプレミス)は、規格品と特注品の混在生産に対応可能な製造業向け生産管理・販売管理一体型のシステムです。
-

製造業向け生産管理システム 生産革新 Ryu-jin SMILE V 2nd Edition
OSKの「生産革新 Ryu-jin SMILE V2」(オンプレミス)は、自動車・電気部品、金属・樹脂・食品などの量産加工をする製造業に特化した生産管理システムです。
-

製造業向け生産管理システム 生産革新 Blendjin SMILE V 2nd Edition
OSKの「生産革新 Blendjin SMILE V2」(オンプレミス)は、化学製品や原材料、食料品などの配合型製造業向けの生産管理・販売管理一体型のシステムです。
-

生産革新 Wun-jin | SMILE V Air
OSKの「生産革新 Wun-jin SMILE V Air」(クラウドサービス)は、多品種小ロット生産の加工業に特化した生産管理・販売管理一体型のシステムです。
製品お役立ち情報Contents
ご購入前の
製品/サービス
お問い合わせContact
企業のDX化や業務効率化に関するお悩みは「株式会社 OSK」へお気軽にご相談ください。








