閉じる

ちょこ解 2026年10月開始「保険料調整制度」と社会保険加入への対応ポイント

ちょこ解シリーズ

最終更新日:2026/08/27

2026年10月から、「保険料調整制度」という新しい制度が始まります。

これは、新たに社会保険(健康保険・厚生年金保険)へ加入する短時間労働者の手取り減少を緩和し、労働力の確保を支援する制度です。これまでは社会保険の対象外だったパート・アルバイトの方が、今後加入対象となるケースが増えます。そのため、採用や人件費、労働時間の管理についての見直しが必要になってきます。

その対策のひとつとなる本制度について、ちょこっと解説します。導入におけるメリットや注意点、さらに混同されやすい「短時間労働者労働時間延長支援コース」との違いを理解しましょう。

なぜ創設されたのか

2027年10月以降は、従業員50人以下の会社であっても、パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険適用拡大の影響を順次受けるようになります。

社会保険への加入は、将来の年金や医療保障の充実につながります。しかし、保険料の負担によって手取り額が減少することを避ける「働き控え」が以前より問題となっていました。そこで対策として創設されたのが、短時間労働者の社会保険料負担を減らすため、事業主がその一部の立替負担を行う「保険料調整制度」です。

この制度は、「新たに社会保険へ加入する」「標準報酬月額が126,000円以下」「学生ではない」短時間労働者を対象として3年間限定で利用できます。対象者の判定には条件があるため、事前に確認が必要です。

事業主の負担は「一時的」

この制度で最も誤解されやすいのが、「事業主が従業員の保険料を一部立替えることで、会社の負担が増えるのでは?」という点です。

本来、社会保険料の負担は従業員と事業主で折半です。ただし、当制度の利用中は従業員の割合が軽減され、その分を一時的に事業主が立替負担します。負担分については後に調整されるので、最終的な事業主の保険料負担総額は増えない仕組みです。

そのため、従業員は将来受け取る年金額を減らすことなく手取り額減少を抑えられます。一方、事業主は従業員の就業調整を防ぎつつ社会保険への加入を促しやすくなる、という効果が期待できます。

例)月収8.8万円の従業員の場合、負担軽減イメージ

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト事業主・人事労務担当者のみなさま 支援制度について

注意しておきたいポイント

保険料調整制度の導入にあたっては、注意すべき点もあります。

  1. ① 一時的に資金負担が発生
    制度の利用中は、事業主による一時的な立替負担が発生します。最終的な保険料負担総額は増えないものの、キャッシュフローへの影響を確認しておく必要があります。
  2. ② 従業員ごとに加入時期によって適用期間が異なる
    制度の適用は、事業所単位に3年間で終了となります。そのため、負担軽減期間が3年未満となる従業員もいます。
  3. ③ 実務負担の増加
    制度利用3年目には負担の割合が半減します。また、標準報酬月額に応じて従業員の負担軽減の割合が異なります。仕組みが複雑なため、対象者の管理や保険料計算など実務負担が増加すると想定されます。

「短時間労働者労働時間延長支援コース」とは何が違う?

社会保険加入の際の支援措置としては、キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」もあります。この2つは目的も仕組みも異なる別制度ですが併用も可能です。混同しやすいのでその違いを整理します。

保険料調整制度は「従業員の保険料軽減対策」、短時間労働者労働時間延長支援コースは「社会保険加入に向けた事業主への支援」と考えると理解しやすいでしょう。

保険料調整制度 短時間労働者労働時間延長支援コース
目的 従業員の保険料負担の軽減 社会保険加入に向けた労働時間延長の促進
支援対象 従業員 事業主
支援内容 従業員の健康保険・厚生年金保険の保険料負担を、
通算3年間軽減
労働時間延長や賃上げ等を実施した事業主に対し、
助成金を支給
期待される効果 従業員の手取り額減少を緩和 社会保険加入者が増え、助成金を受け取れる

自社の方向性を検討しましょう

現在は対象外であったとしても、今後、短時間労働者が社会保険に加入する流れは避けられません。

保険料調整制度には、

  • 従業員の手取り減少を抑えられる
  • 就業調整対策として、人材の確保・定着に役立つ
  • 事業主負担は増えない

というメリットがあります。ただし、一時的な資金負担の発生や手続きが複雑になる、といった注意点もあります

自社の人材戦略や社会保険の加入方針と合わせて、「保険料調整制度」の活用も検討してはいかがでしょうか。

日本年金機構「保険料調整制度のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/hokenryochosei.html

関連業務・キーワード

製品お役立ち情報Contents

ご購入前の
製品/サービス
お問い合わせContact

企業のDX化や業務効率化に関するお悩みは「株式会社 OSK」へお気軽にご相談ください。

×

Cookieの利用について

このウェブサイトはクッキーを使用しています。このサイトを使用することにより、サイトの利用条件に同意したことになります。