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ちょこ解 2026年10月から「106万円の壁」は「週20時間の壁」へ

ちょこ解シリーズ

最終更新日:2026/05/27

2026年10月から、パート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険加入要件が大きく変わります。最大の変更点は、いわゆる「106万円の壁」が撤廃され、「週20時間の壁」へと変わることです。

これまで必要だった「月額賃金8.8万円(年収約106万円)以上」という賃金要件がなくなることで、新たに社会保険加入対象となる方が増えます。要点をちょこっと解説しますので、ご確認ください。

社会保険加入要件の変更、その背景

生産年齢人口の減少と高齢化により、日本では労働力不足が大きな問題となっています。パートやアルバイトといった短時間労働者に頼る部分も少なくありませんが、社会保険料の自己負担が発生する「106万円の壁」のために働き控えが生じ、労働力不足の一因となっていました。

一方、昨今の全国的な賃金の引き上げにより、週20時間働くと最低賃金であっても年収106万円を超える状態となってきました。

  • 最低時給1,023円 × 1040時間(20時間×52週)= 1,063,920円

つまり、「週20時間以上」働くと自動的に「年収106万円以上」を満たすため、形骸化した「月額賃金8.8万円(年収約106万円)以上」の要件はなくなり「週20時間の壁」へと変わった、といえるでしょう。

社会保険に加入することで手取り金額は減りますが、年金や傷病手当などの充実した手厚い保証が受けられるようになります。制度改正は、自身のライフスタイルに合わせた働き方を支える側面も持っているのです。

今後の適用要件

2026年10月以降、社会保険(健康保険・厚生年金)加入の適用要件から、「月額賃金8.8万円(年収約106万円)以上」が外れ、下記の通リとなります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2か月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない
  • 従業員数51人以上の事業所に勤務している

企業規模要件は、2027年以降、段階的に縮小・撤廃される予定です

従業員51人以上 従業員36人以上 従業員21人以上 従業員11人以上 従業員10人以下
現在 2027(令和9)年
10月から
2029(令和11)年
10月から
2032(令和14)年
10月から
2035(令和17)年
10月から

なお、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所については、2029年10月から、業種に関係なく原則として社会保険の適用となります。

実務担当者が注意すべきポイント

新たに社会保険の加入対象者が増えることで、企業が負担する法定福利費は増え、実務負担も増大します。改正内容を正確に把握し、早めに作業の洗い出しを行うことが重要となってきます。

  1. 対象となる従業員の把握
    まずは、新たに加入対象となる従業員がどのくらいいるのかを把握しましょう。
    対象は雇用契約上、所定労働時間が週20時間以上の従業員です。一時的な残業は該当しませんが、実労働時間が2か月を超えて週20時間以上となる場合は、対象となる可能性があります。労働条件を精査して、新規加入対象者のリストを作成しましょう。
  2. 社内告知の実施
    対象となる従業員に向けて社内告知や説明会を行いましょう。誤解やトラブルを避けるためにも、社会保険に加入することで手取り金額が減るけれども、厚生年金が上乗せされて将来的な年金受取額が増えること、傷病手当や出産手当が受けられるといった保証についてのメリットを明確に伝えます。
  3. 社会保険の加入手続きの実施
    対象となる従業員の厚生年金・健康保険の資格取得手続きを行います。場合によっては、労働条件通知書の再締結や就業規則・賃金規定の見直しも必要となります。早急に確認・対処しましょう。

社会保険加入拡大に伴う支援措置

企業および従業員の保険料負担が急に増えることへの対策として、国からの支援や助成金制度が用意されています。これらの活用についても知っておきましょう。

  • 保険料調整制度
    企業規模要件を満たさない場合でも、従業員の2分の1以上の同意があれば、短時間労働者を任意で社会保険に加入させることができます。2026年10月1日以降に任意で社会保険に加入した場合、事業主が短時間労働者の本人負担分を一部肩代わりすると、その追加負担分について最大3年間、国が支援する制度です。

    日本年金機構「保険料調整制度のご案内」
    https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/hokenryochosei.html

  • キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」
    短時間労働者を新たに社会保険に加入させる際に、手取り収入が減少しないように所定労働時間の延長と賃金の増額を行った事業主に対して助成金が支給されます。この助成金を活用することで、企業側の負担を軽減することができます。

    厚生労働省「キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001684101.pdf

まとめ

企業にとっては法定福利費の増加という新たな負担につながる一方で、「週20時間勤務から社会保険完備」という条件は従業員の安心感・満足度を高め、エンゲージメントの向上が見込めます。

2027年には企業規模要件は51人以上から36人、2029年には21人へと縮小され、個人事務所についても業種に関係なく適用対象となる予定です。

法改正の動向を正確に把握し、支援制度も活用しながら計画的に対応を進めていくことが重要です。対象となる従業員の把握、社内告知の準備を早めに着手するようにしましょう。

厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html

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