運送業のお客様へ 2026年改正を受けて「選ばれる運送会社」になるための実績管理
最終更新日:2026/04/06
改正物流効率化法により、荷主については、荷待ち時間の短縮や荷役等時間の短縮など、物流効率化に向けた取組みを進める努力義務が課されています。一方、2026年4月改正により、特定事業者は、荷待ち時間などの実測データを基に、中長期計画の策定・定期報告を行うことが義務となりました。ところが、これらに必要なデータの多くは運送会社が現場で記録している情報であり、荷主などが単独で把握することは難しい面があります。つまり、運送会社が実績管理の体制を整え、必要な情報を適切に提供できるようにしておくことは、法令遵守のみならず「選ばれる運送会社」として信頼獲得するうえでも重要なポイントとなります。
長時間の荷待ちの改善が進まない理由
国土交通省は、物流の2024年問題への対応として、荷主や運送会社が「物流の適正化」に取り組んでいるかどうかを確認するため、トラック・物流Gメンという調査チームを設置しています。この調査では、法令で禁止されている、荷主が運送会社に不当な負担をかける行為(いわゆる「荷主の違反行為」)の実態が調べられています。最新の調査では、違反の1番の原因が「長時間の荷待ち」となっています。
では、なぜ長時間の荷待ちが問題として指摘されているにもかかわらず、改善が進みにくいのでしょうか。その背景には、荷待ち時間を正確に把握すること自体の難しさがあります。荷待ち時間を正確に把握するには、トラックの到着時刻から荷受け開始までの時刻を継続的に記録し、複数台の動きを追う必要があります。到着指定時刻の有無により測定時間の違い、荷役作業との区別、運送事業者の規程による休憩時間との関係など、施設での各トラックの動きに関係します。そのため、作業時間や荷待ちといった実測値を荷主自身が継続的かつ正確に把握することは容易ではありません。
荷主と運送会社の連携の重要性
特定事業者が把握し報告すべきデータは、実際には、運送会社で記録している情報も必要であり、両社が連携して一体的に実績管理を進める必要があります。 荷待ち時間の計測については、必ずしも新たな仕組みを一から整備する必要があるわけではありません。 運送会社が保有するデジタコの記録を活用する方法や、現場でのヒアリングなどを通じて実態を把握する方法が例示されています。※
これらはいずれも、運送会社が日々の業務の中で自然に把握している情報をもとに整理できるもの であり、荷主が単独で把握するのではなく、運送会社と協力しながら実績を確認していくことが現実的です。
※ 参考)特定荷主の物流効率化法への対応の手引き
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984872.pdf
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また、冒頭で触れたように、荷主には積載効率の向上・荷待ち時間の短縮・荷役等時間の短縮に取り組む努力義務が課されています。これらの取組みを進めるためには現場の状況把握が欠かせず、運送会社には荷主の措置に協力する努力義務が位置づけられています。そのため、運送会社は日々発生する実績の記録を行うことが重要です。
ここまで見てきたように、改正物流効率化法では、立場ごとに求められる対応の内容や強度が異なります。特に荷待ち時間などの実測データについては、現場を担う運送会社の協力を前提に、荷主と連携して管理していくことが制度上も想定されています。
参考として、この記事で触れた範囲を、立場別に整理すると次のようになります。
| 立場 | 法的位置づけ | 内容 |
|---|---|---|
| 特定事業者 | 義務(罰則あり) | 中長期的な計画の作成、物流統括管理者の選任(特定荷主及び特定連鎖化事業者のみ)、定期の報告等 |
| 荷主 | 努力義務 |
積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、実効性の確保のための事項 |
| 運送会社(貨物自動車運送事業者等) | 協力する努力義務 | 積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮 |
参考)「物流効率化法」理解促進ポータルサイト
運送会社が整えるべき実績管理のポイント
従来、実績管理は社内効率化のための仕組みとして扱われることが多くありました。しかし今後は、荷主から選ばれ、安心して任せてもらうための重要な判断材料へと役割が変わりつつあります。荷主が求めるのは、運行に関する情報が適切に整理され、必要なときにすぐ確認できることです。たとえば、「荷待ち時間・荷役作業等の記録」データがしっかり記録され、いつでも共有してもらえることが安心材料です。そこで、運送会社側で次の3つのポイントを整えておくことが重要です。
- 現場で記録されたデータを漏れなく集める仕組み
- 集めたデータを整理し、必要な単位で取り出せる仕組み
- 荷主が必要とする形式や粒度にあわせて提供できる仕組み
これらを整えることで、荷主とのデータ連携がスムーズになり、結果として「信頼して任せられる運送会社」として評価される関係が築かれます。さらに、データが整備されていることは自社にとっても大きなメリットがあり、運行効率の改善や人員配置の最適化にもつながります。結果として、無駄なコストの削減や安全性の向上といったメリットも得られます。
実績管理の導入は「小さな一歩」から
実績管理と聞くと、大がかりな仕組みが必要だと思われがちですが、まずは「日々の運行情報をひとつに集める」ことからでも十分に始められます。紙やExcelに分散している情報をまとめて整理し、あとから迷わず取り出せる環境を整えるだけでも、荷主への迅速なデータ提供が可能となります。加えて、整理されたデータは請求書作成や支払確認といったバックオフィス業務にも直結します。実績管理は、負担の増える業務ではなく、“毎日の記録をムリなく続けられる仕組みをつくること”がポイントです。データを整えておくだけで、荷主からの信頼につながり、自社の運行事業の改善にも役立ちます。
まずは、現状の日報などの管理体制を見直し、小さな改善から取り組んでみませんか?
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