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ちょこ解 物流2024年問題の次はこれ!トラック新法で変わる運賃ルールと適正原価の重要性

ちょこ解シリーズ

最終更新日:2025/12/ 9

2025年6月に公布された「トラック新法」(正式名称:貨物自動車運送事業法改正)では、運送業界の構造的課題を是正するため、複数の重要な改正が行われました。その中でも注目されるのが、「標準的な運賃」の廃止と「適正原価」の導入です。

これまでの標準的な運賃は、国が示す目安価格に過ぎず、法的拘束力がありませんでした。そのため、過度な値下げ競争(ダンピング)が常態化し、ドライバーの長時間労働や低賃金、さらには安全性の低下を招いていました。

こうした状況を改善するため、トラック新法では国が告示する「適正原価」を下回る運賃・料金を禁止。荷主・事業者ともに、持続可能な物流を支える価格水準を守ることが義務化されます。そこで、今後運送事業者がとるべき対応についてちょこっと解説します。

標準的な運賃と適正原価の違い

トラック新法では、適正原価を下回る取引が制限されますので、運送事業者が設定する運賃・料金について、国が示す「適正原価」を下回らないようにすることが求められます。では、これまでの「標準的な運賃」とはどのような違いがあるのでしょうか。

<標準的な運賃と適正原価>

項目

標準的な運賃

適正原価

定義・目的

価格交渉を円滑にするための標準的な運賃

運送事業者の持続可能性を確保するための適正原価基準

法的位置づけ

拘束力なし

(運送業界のガイドライン的な位置づけ)

拘束力あり

(取引価格が適正原価を下回らないこと)

算出方法

過去の運賃実績や平均値をもとに算出

人件費・燃料費・車両の減価償却費や管理費などの必要コストを反映

ポイントとして、「適正原価」は取引価格の“最低ライン”であるということです。これを下回る契約は法令違反となり、行政指導や処分の対象となります。

「適正原価」に対し、企業が準備すべきこと

適正原価は、単なる目安ではなく、交渉の根拠となる法的基準です。企業は次の対応を進める必要があります。

  1. 自社原価の正確な把握
    • 運賃体系が適正原価に沿っているか確認
    • 原価割れを防ぐため、運賃表や計算ルールを整備
    • 再委託の場合にも、適正原価を下回らない料金で契約する

      原価計算には、国土交通省や全日本トラック協会が提供している資料やツールを活用すると良いでしょう。

  2. 説明できる資料の準備
    • 「なぜこの運賃なのか」を荷主に示せる根拠資料を作成
    • 社内で交渉方針を共有し、一貫した対応が取れる体制を構築
  3. 効率化の仕組みを導入
    • 人件費・燃料費・減価償却費、車両の管理費などの原価、経費の実績を効率的に把握できるように、業務の見直しやITシステムを利用する
      人件費・燃料費・車両の管理のイメージ
    • 実際の原価を考慮し、運賃や料金に反映する
      原価計算のイメージ

適正原価は、物流業界の健全化とドライバーの働き方改革を後押しすることを目的としています。制度が本格運用される前に、人件費・燃料費・減価償却費をはじめ、車両の管理費や付随する各種経費などに加え、日々の運行・運送・稼働実績等を正確に把握し、それをもとに運賃や料金の決定や交渉を行える体制を整えることが重要です。

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